HTML5アプリがモバイルアプリ開発者の注目を集めるなか、HTML5のパフォーマンスに関するレポートが5月22日(米国時間)に発表された。それによると、「iPhone 4S」「GALAXY S II」といった最新のスマートフォンにおけるHTML5の実行速度は、PCにおける実行速度に比べて最低でも6倍は遅く、場合によっては1,000倍以上遅いこともあることがわかった。
この調査は、米Spaceportがオープンソースのベンチマークスイート「Perfmarks II」を用いて、スマートフォン(iPhoneとAndroid端末)とノートPC(「MacBook Pro」)上でのHTML5の動作について比較、ネイティブに近いフレームレートとされる30fpsでのパフォーマンスを調べたもの。
OSはAndroid 4.0.3、同4.0.4、iOS 5.1、同5.1.1、Webブラウザはモバイル版の「Google Chrome」(ベータ)、モバイル版「Safari」、「Google Chrome」(バージョン18.0.1025.168)が利用された。
調査の結果、最新のMacBook Pro(「Mac OS X 10.7.3」搭載)に対し、iPhone 4S(「iOS 5.1.1」)は6倍遅く、GALAXY S IIは10倍遅かったという。全体として、AndroidはiOSよりHTML5の性能という点で劣っており、iOSはざっとAndroidの7倍は高速だと報告されている。スマートフォン全体の平均では、ノートPCよりも889倍劣るとのこと。
なお、Android端末におけるHTML5のパフォーマンスでは、「Samsung GALAXY Nexus」(「Android 4.0.4」)よりもGALAXY S II(「Android 4.0.3」)のほうが優れていたとのことだ。
Spaceportは、「HTML5の速度は改善してきたが、複雑なアプリケーションでのHTML5利用を支援するという点ではモバイル端末とブラウザの性能はまだ不足している」と、HTML5の課題を指摘している。