米Barnes & Nobleと米Microsoftは4月30日 (現地時間)、Barnes & Nobleの新しい電子書籍子会社 (社名は未定)に関する戦略的提携を発表した。Microsoftは新子会社に3億ドルを投資する。

米国の書籍チェーン最大手のBarnes & Nobleは、NOOKというブランド名で電子書籍を中心としたデジタルコンテンツサービスを米国で展開している。Androidを採用した電子書籍リーダー「NOOK Simple Touch」、タブレット「NOOK Tablet」「NOOK Color」などのNOOK用端末を用意し、オンラインストアだけではなく、全米に小売ストアのあるメリットを活かしてAmazon.comに対抗してきた。しかしながら、思うようにKindle市場を崩せず、またAppleがiPadで電子書籍市場に参入してきたことで窮境に陥り、今年1月に「株主の価値を最大限化するため」という理由でデジタル事業を戦略的に分離する計画を明らかにした。

Barnes & Nobleの新子会社はNOOKを含むデジタル事業と大学向け事業を担う。Microsoftからの3億ドルの資金調達後の企業価値は17億ドル。Barnes & Nobleが株式の82.4%、Microsoftが17.6%を保有する。

新子会社は既存のBarnes & Nobleの小売ストアとの関係を継続しながら、NOOK Studyソフトウエアを用いた教材の配信・管理プラットフォームの提供を強化する。またWindows 8用のNOOKソフトウエアを用意し、電子版の書籍・雑誌・新聞を米国だけではなく、他の国にも提供するという。

Microsoftは2011年3月に、NOOKが採用するAndroidプラットフォームが同社の著作権を侵害しているとして米ワシントン州西地区連邦地方裁判所に提訴したが、特許問題に関してBarnes & Nobleと和解し、Barnes & Nobleと新子会社に必要な特許の使用ライセンスを供与することで合意した。投資家向けのカンファレンスコールでBarnes & Noble CEOのWilliam Lynch氏は、今後NOOKにWindowsプラットフォームの利用体験を積極的に取り込む意向を示した。ただし、将来のNOOK端末については「ロードマップはエキサイティングなものだ」と述べたのみで、Windowsを採用する可能性には言及しなかった。

新子会社の分離については、これからあらゆる可能性を検討するという。「戦略的な分離や株式公開会社などを前提とした検討ではない」(Barnes & Noble)としている。