富士通と富士通九州システムズ(以下、FJQS)は4月20日、製造業のユーザーに過去に現場で発生した製造・設計トラブルのレポートを分析し、トラブル発生の傾向や要因を見える化することで、製品不具合・作業ミス・事故の未然防止を支援するソフトウェア「Riskmining Navigator」の販売を開始すると発表した。価格は「Riskmining Navigator V1サーバライセンス」が500万円(税別)。

Riskmining Navigatorは、莫大なデータの中からトラブルの原因を分析し、トラブル発生パターンを見える化することで担当者に気付きを与え、製品開発における効果的な対策の立案・実施を支援するもの。設計、製造、マーケティングなどの分野に適用することで、トラブルを未然に防ぎ、製品品質や作業の安全性、マーケティングの質を向上させる。

主な利用分野と分析内容は、設計品質向上分野が設計工程や設計レビュー工程で検出された不具合の分析、製造品質向上分野が製造工程で検出された不具合、取り付け不具合、製造ライン不具合の分析、作業安全性向上分野が作業現場で発生した事故やヒヤリハットの分析、マーケティング分野がコールセンターの顧客要望やクレームの分析。

予防型リスク管理PDCAサイクルのイメージ

トラブルレポートのテキスト記述内容を見える化では、非定型情報であるテキストで書かれたトラブルの詳細な内容を、キーワードや文書の関係を抽出し、ネットワーク図として見える化することにより、大量のトラブルレポートのテキスト記述内容の概要・特徴・関係性を直感的に把握することが可能とする。

テキスト内容を分析しグラフとマップで見える化した一例

トラブル発生パターンを自動的にモデル化では、非定型情報であるテキストで記載されているトラブルの詳細内容から、トラブル発生の条件や事象を自動抽出し、トラブル発生モデルを自動構築する。発生に至るまでの過程をモデル化することにより、定量的なリスク分析・予測・シミュレーションが可能となり、トラブルに対する効果的な対策を効率よく講じることができるようになる。

交通事故レポートを分析したリスクシナリオのイメージ図

リスク管理の質および対応力の向上では、過去に発生した製品不具合・作業ミス・事故などに関するトラブルレポートを分析することにより、過去事例に潜んでいるリスク防止へのヒントや見落としていた新たな気づきを得ることができるようになる。また、リスクとして漠然と認識されている既知の傾向を、具体的な事例データによって裏づけることで、定量的かつ客観的な分析を実施することが可能となる。

リスクシナリオ分析

同製品は、富士通研究所が開発した、大量のトラブルレポートの記述内容をネットワーク図として可視化する「ビジュアルテキストマイニング技術」、および、トラブルレポートのテキスト記述部からトラブル発生モデルを自動構築する「リスクシナリオ分析技術」を活用している。