4月9日、帝国データバンクと東京商工リサーチから2011年度(2011年4月1日~2012年3月31日)の全国企業倒産の集計結果が発表された。同年度の倒産件数と負債総額は、帝国データの発表では1万1,435件/3兆9,165億1,800万円、商工リサーチの発表では1万2,707件/3兆9,906億4,000万円となっている。

帝国データバンクの調査結果

2011年度の全国企業倒産の件数は前年度の1万1,496件に比べて0.5%の減少となり、3年連続で前年度を下回った。四半期別では、第2・第3四半期は減少傾向にあったが第4四半期で増加に転じ、月別では増減を繰り返しながら、ほぼ横ばい状態の推移となった

2011年度の負債総額は、前年度の4兆5,573億7,600万円の14.1%減少となり、3年連続で前年度を下回り過去10年で最小を記録した。四半期別では、2010年度第3四半期以降5期連続の前年同期比減少となったが、2011年度第4四半期では増加に転じた。

全国企業倒産件数の推移 資料:帝国データバンク

負債総額の推移 資料:帝国データバンク

業種別では、7業種中5業種で前年度を下回り、減少率では製造業(9.5%減)、運輸・通信業(8.4%減)、不動産業(4.6%減)と続いた一方、小売業(4.7%増)とサービス業(6.8%増)の内需型業種では前年度を上回った。

地域別では、関東(4,342件)、近畿(2,923件)など4地域で前年度を下回った。なかでも東北(402件)は前年度比27.3%の大幅減少で、過去10年で最少となった。一方、中国(483件)、九州(781件)など5地域は前年度を上回った。

同社によると、2011年度に円高の影響を受けた倒産は98件判明しており、2010年度(64件)に比べ53.1%の大幅増加となった。「昨夏からの歴史的な円高水準は一服したが、いまだ高水準で円高は推移しており、引き続き中小零細企業を中心に円高関連倒産が懸念される」と、同社は見ている。

商工リサーチの調査結果

2011年度の倒産件数は、1万3,065件だった前年度に対し2.7%減と、年度としては3年連続の減少で1991年度(1万1,557件)以来20年ぶりに1万3,000件を下回った。減少要因として、中小企業金融円滑化法やセーフティネット保証(5号)のほか、 「東日本大震災復興緊急保証」や「東日本大震災復興特別貸付」などの各種資金繰り支援効果が挙げられている。

2011年度の負債総額は、4兆7,245億8,400万円だった前年度に対し15.5%減と、1990年度(3兆2,753億1,400万円)以来、年度としては21年ぶりに4兆円を下回ったという。その要因として、10億円以上の大型倒産が同23.0%減の424件(前年度551件)となり、年度としては1990年度(332件)以来の低水準にとどまったことが挙げられている。負債1億円未満の倒産が約7割(構成比69.3%)を占め、小規模企業を中心に推移した。

全国企業倒産年次推移 資料:商工リサーチ

産業別では、農・林・漁・鉱業・建設業・製造業・卸売業・小売業・金融/保険業・不動産業・運輸業・情報通信業・サービス業他の10産業のうち、8産業が前年度に比べて減少した。増加したのは、サービス業他7.3%増(2,695件→2,893件)と農・林・漁・鉱業12.7%増(94件→106件)の2産業で、サービス業他は、飲食業や宿泊業、旅行業などで件数を押し上げたという。

地区別では、6年ぶりに北海道・東北・関東・中部北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区のうち、5地区が前年度を下回った。減少率は、東北28.6%減(576件→411件)、四国15.0%減(312件→265件)、近畿6.3%減(3,618件→3,387件)、関東2.1%減(4,927件→4,820件)、中部0.5%減(1,579件→1,571件)の順。増加したのは、中国24.4%増(430件→535件)、九州9.5%増(838件→918件)、北陸2.1%増(329件→336件)、北海道1.7%増(456件→464件)の4地区だった。

主要産業倒産件数推移 資料:商工リサーチ