職場や組織では時として、言いにくいことも言わなければならない。部下を抱える上司となれば、組織をまとめる立場としてこうした場面を避けられないだろう。切り出しにくいことを伝える時のコツはないものか? その効果的な方法を、Forbesが「How To Give Difficult Feedback(いいにくいフィードバックをどうやって伝えるか)」で紹介している。

心理学教授のThomas D'Aunno氏によると、原則として、「間隔を空けずに言う」「感情的にならない」「態度ではなく行動そのものを指摘する」などが挙げられるという。

記事では、会議中、部下のA君がBさんに対して差別的な態度をとった場合、上司が取るべき態度が例示されている。Bさんは女性でヒスパニック系で、A君はBさんの意見を故意に無視した。この例に沿って説明するなら、会議が終わって1日、2日が経過していては遅い。だが、感情が熱いうちに注意するのはよくない。会議が終わってほどなく、だが気持ちを落ち着けて伝えることが重要だ。

「態度ではなく行動そのものを指摘する」とはどういうことだろう? 記事では、態度は「女性でヒスパニック系であるBさんに対する差別」、行動は「Bさんの意見をわざと無視した」という事実としている。したがって、A君と話をする時は「差別はよくない」などと注意するよりも、Bさんの意見を無視した点にフォーカスして話をすべきだという。「差別のような"態度"や"考え方"を変えることは難しいのは調査でも明らか」とD'Aunno氏はコメントしている。

次に重要なポイントは、「何について話をしたいのかを最初に示す」「直接的な表現を使う」だ。「会議での出来事について話したいのだが」と切り出し、「Bさんに差別的だったように見えた」とはっきり伝えよう。間違っても、「会議中の自分の態度をどう思った?」などと聞かないこと。A君が「問題ないと思いました」と答えたら、あなたはA君に否認・反論することになり、感情的になってしまうからだ。

A君の反応次第だが、状況に応じて行動を使い分ける「状況的リーダーシップでいきたい」。問題に対して一方的に責任をとらせるよりも、上司として改善しようとしている姿勢を見せたほうがよい。「どうやったらよいだろうか?」などと問いかけて、たとえA君が出した対策が気に入らない内容でも、足がかりとしてまずは受け入れてはどうだろう、と記事では助言している。

もしA君が自分の非を認めず態度を改めようとしない場合は、A君の意見に同意できないと伝えるべきだ。どちらが正しいかの議論に持ち込むのではなく、態度を改めてもらうことにフォーカスし、必要なら対策を提案する必要がある。

具体的には、「私は次のような提案をした。君は気が進まなそうだが、ぜひやってみてほしい」という風に伝えよう。