IBMは12月19日(米国時間)、今後5年間で人々の働き方、生活、関わり方を一変させる可能性を持った5つのイノベーション「Next 5 in 5」を発表した。具体的な5つのイノベーションは以下の内容になる。

  • あなたの作ったエネルギーが誰でも使えるように
  • もうパスワードは不要に
  • 人の心を読むことが空想から現実に
  • デジタル・デバイドのない世界に
  • 迷惑メールが価値あるお知らせに

「あなたの作ったエネルギーが誰でも使えるように」は、再生可能エネルギー技術の向上により、今は無駄にしている動的なエネルギーを個人が集めて、家庭・オフィス・街に対する電力供給において利用可能になることを意味している。具体例として、「自転車の車輪のスポークに取り付けた小さなデバイスがペダルを漕ぐとバッテリーに充電すること」が挙げられている。現在、アイルランドのIBMの研究者は波の力を電力に変換することによる環境への影響を最小化する方法を研究している。

「もうパスワードは不要に」は、生物学的な特徴が個人を守るカギとなることを意味している。具体的には、顔認識・網膜スキャン・音声ファイルなど、DNAによって合成された生体情報が唯一のオンライン・パスワードとして利用可能になるという。この技術は「マルチファクター生体認証」と呼ばれ、スマートなシステムによりリアルタイムに情報を集約することで、情報にアクセスするたびに生体情報を確認して本人の生体情報と照合して認証する。

現在、バイオインフォマティクス分野の科学者たちは脳の電気的活動や、表情、興奮、集中の程度などを計測できる高度なセンサーが付いたヘッドセットを考案しており、それを利用すれば、「人の心を読むことが空想から現実に」なるという。同社は「5年以内に、ゲームやエンターテインメント分野でこのテクノロジーの初期の応用事例を示せる」としている。

モバイルテクノロジーの発展により、モバイル端末の価格が低下することで、これまではモバイル端末を買うことができなかった人も可能になり、「デジタル・デバイドのない世界」が実現されるという。具体例として、同社がインドで実現した、音声技術とモバイル端末を活用して読み書きのできない地方の村人たちが端末に録音したメッセージを介してコミュニケーションできる仕組みが挙げられている。

同社は「5年以内に未承諾広告は、よりパーソナライズされた内容になり、スパムは事実上根絶されると同時に、スパム・フィルターの精度も上がるため、不要な売り込み広告からは解放されるようになる」と予測している。同社はソーシャル・ネットワークやインターネットのユーザー嗜好など、人々の生活のあらゆる側面から得られるデータを解析・統合し、ユーザーに最適な情報を提供できるリアルタイム・アナリティクスを活用したテクノロジーを開発しており、このテクノロジーにより、興味のある分野の情報を活用できるようになるという。

YouTubeでは、「IBM Next 5 in 5」を紹介するビデオを見ることができる。