ラティフ・ヤヒア氏(右)とゲストのデヴィ夫人(左)

イラクの独裁者サダム・フセインの息子で"狂気の申し子"と呼ばれたウダイ・フセインと、彼の影武者として生きることを強制された男の人生を描いた映画『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』。その原作者で元影武者のラティフ・ヤヒア氏が20日、都内で記者会見を行った。会見には「デビル」に名前が似ているということから招かれたデヴィ夫人が登壇し、ヤヒア氏とトークを行った。

最初に登壇したヤヒア氏はまず、「完成した本作を観たときは安定剤を飲まなければいけないような心境でした。特に拷問シーンは見ていて辛かったです」と語り、「拷問の後遺症で後2、3年の命だと医者に言われています」と余命を宣告されていることを告白した。

また現在のイラクについては「亡命はしましたが、自分の心はイラクに残り続けています。リビアやエジプトと同じように、アメリカの侵攻なしにイラクが変化を遂げてくれていたらどんなに良かったかと思います。今のイラクは国として終わったと感じています」と真情を吐露、さらに「サダム・フセインやウダイ・フセインは殺害されるのではなく、法廷で裁かれてほしかった」とアメリカのやり方を批判した。

ここでデヴィ夫人が登壇し、ヤヒア氏に「私もインドネシアのクーデターで亡命しましたが、ラティフさんが命の危険を冒してまで亡命した理由は何でしょう」と質問。これにヤヒア氏は「影武者としての生活に耐えきれなくなったのが理由です。当時は西洋に希望を抱いていましたが、それは叶いませんでした。イラクで拷問を受けましたが、亡命後もCIAによって拷問を受けたのです」と当時を振り返りながら答えた。

ウダイの影武者になるために整形手術や義歯装着を強制させられたというヤヒア氏

デヴィ夫人は痛烈にマスコミを批判した

また、会見後の囲み取材でデヴィ夫人は、「日本はマスコミの情報が、アメリカからの偏ったものであることが多い」とマスコミを批判。その例として、前日に亡くなった北朝鮮の金正日総書記についての報道を挙げ、「金正日総書記が亡くなって、北朝鮮の国民は地面を叩いて泣き伏しています。それくらい慕われているわけです。それもアメリカは洗脳されているからああなっているんだという言い方をします。私は(北朝鮮の国民が)彼を純粋に崇めているというのを直に見てきていますし、日本の皆さんがマスコミの偏った報道に冒されているのが残念です」と強い口調で語った。

『デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-』は2012年1月13日よりTOHO六本木ヒルズほか全国順次ロードショー。

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