日本旅行は10日、日帰りの旅行ツアー「鉄道写真家 広田泉さんと行く なごみ&ひたちなか海浜鉄道の旅」を開催した。参加者約100名がJR東日本のE655系「なごみ」に乗車したほか、ひたちなか海浜鉄道ディーゼルカーの見学会や撮影会も行われた。

日本旅行のツアー用に貸し切られたE655系「なごみ」。勝田駅に到着

ツアー参加者を乗せた5両編成の「なごみ」は、朝8時54分に品川駅を発車。普段めったに乗車する機会のない「なごみ」だけに、出発前から外観や内装を撮影する参加者が多かった。

同車両は、ダークブラウンの重厚な車体もさることながら、車内も魅力的。全車両3列構成(3号車の座席は黒革張り)の座席や、各座席に備え付けられ、1号車・5号車からの前面展望も楽しめるタッチパネル式ディスプレイなど、"ハイグレード"な客室構成となっている。

品川駅を発車した「なごみ」は山手貨物線を走り、新宿駅で運転停車した後、京浜東北線の上中里駅付近まで走行。ここで田端操車場へ入るため、スイッチバックを行った。田端操車場では30分程度停車し、三河島駅付近から常磐線に合流して勝田駅へ向かった。

「なごみ」3号車の座席は黒革張り。備え付けられたタッチパネル式ディスプレイで前面展望も楽しめる

車内では軽食サービスも。中身はサンドイッチなど

広田泉氏とのじゃんけん大会も行われた

「なごみ」には、鉄道写真家の広田泉氏、ひたちなか海浜鉄道取締役社長の吉田千秋氏らも乗車。取手駅を通過した後、車内では広田氏によるじゃんけん大会も行われた。勝ち残った参加者には、広田氏の写真集『ここから始まる。』がプレゼントされた。

勝田駅からの貸切車両。先頭はキハ2004

那珂湊駅に残されたケハ601。車内はギャラリーに

勝田駅には12時23分に到着し、ここでひたちなか海浜鉄道へ乗換え。今回のツアーでは、ともに留萌鉄道から購入したキハ2004とキハ2005が貸切車両として使用された。

那珂湊駅では、駅構内に残る日本初のステンレス製気動車ケハ601の見学会を実施。同車両の保存に努める「おらが湊鐵道応援団」による焼きいもの差し入れもあった。

ツアー参加者にはあんこう鍋がふるまわれた

キハ2005をバックに吊るされたあんこう

駅の下りホームではあんこう鍋が用意され、あんこうの解体の実演も行われた。あんこうの体内から、丸呑みにしたイカがそのままの姿で現れる場面もあり、周囲からどよめきが起きていた。

その後、希望者を募り、広田氏とともに中根駅へ移動。駅周辺で列車の撮影会が行われた。

キハ222による撮影専用列車が通過していった

37100-03「アニマルトレイン」

ミキ300-13

カメラを向ける広田氏(写真手前)

この日は元羽幌炭礦鉄道のキハ222の単行による撮影専用列車が運転され、他にも定期列車に使用する元三木鉄道のミキ300-13、茨城交通時代の自社発注車両による「アニマルトレイン」を撮影できた。広田氏は撮影に適したポジションや撮影方法を参加者にレクチャーし、列車の通過時には真剣な表情でカメラを向けていた。

「寒い中お疲れ様でした。でも天候に恵まれましたし、『なごみ』よかったですね!」と笑顔で参加者に挨拶した広田氏。ひたちなか海浜鉄道に関する意外な発言も飛び出し、参加者たちを笑わせつつ、「今日は乗りながら撮ることもできて、よかったと思います。ひたちなか海浜鉄道に何度でも乗りに来てください」と述べた。

東日本大震災で長期間の運休を余儀なくされ、復旧作業を経て7月23日に全線営業再開したひたちなか海浜鉄道だが、いまも乗客の減少に苦労しているとのこと。

吉田氏は、「この鉄道はご覧の通りの景色で、昔ながらの車両も走っています。那珂湊駅の近くにはおさかな市場がありますし、ひたち海浜公園やアクアワールド大洗水族館にも行けます。水戸の黄門様(徳川光圀)が建てた『い賓閣』跡地に湊公園もあります。2度3度来ても、おいしく、楽しく、ためになる所だと思います。ぜひまた来ていただけたら」と話し、自社をPRしていた。

広田泉氏(写真左)と吉田千秋氏(同右)。2人ともツアーを楽しんだ様子