秋田内陸縦貫鉄道は17日、新社長が内定したことを発表した。同社は今年9月より社長公募を実施しており、応募者計63名の中から新社長が選ばれた。

秋田内陸線が全通したのは1989年。風光明媚なローカル線として鉄道ファンにも知られる

同社は秋田新幹線と接続する角館駅と、JR奥羽本線と接続する鷹巣駅とを結ぶ94.2kmの路線を運営。秋の彩り豊かな景色や冬の雪景色が美しい風光明媚な路線だが、存廃問題が取り沙汰されたこともあり、厳しい経営状況が続いている。

新社長に就任する酒井一郎氏は、1948年生まれ、東京都出身。1972年にそごう入社後、店舗開発担当として企画・渉外業務に携った。豊田そごう常務取締役店長、広島そごう総務部長、徳島そごう外商部長を経て、2006年に豊田スタジアム入社。豊田スタジアム取締役副社長を務めた。

酒井氏は今後、秋田内陸縦貫鉄道が秋田県、北秋田市、仙北市とともに合意した、「2012年度末までに経常損失を2億円以内とすること」を目標に、経営改善計画に従った収支改善を行うことに。秋田内陸線の乗車促進および利用拡大にも取り組むことになる。

今回の内定を受けて、酒井氏は、「鉄道も百貨店も、サービス業という括りでは同じであると思います。地域社会にとって鉄道は大変重要なインフラです。『顧客の視点』に立った仕事を長年続けてきた経験を生かし、沿線地域の生活路線を守るため、観光路線として広域から集客できる鉄道にしていきたいと考えております」とコメントしている。