ヤフーは、同社の提供する検索連動型広告「スポンサードサーチ」について、新たな広告配信システム「スポンサードサーチ Ver.3」への移行が、11月10日に完了したことを発表した。スポンサードサーチ Ver.3への移行は、今年4月に広告主や代理店向けにすでに発表されている。

同社では、今回の移行にともなって広告管理ツールを刷新するとともに、ログインIDをYahoo!JAPANビジネスIDに統合し、各種の新機能を追加。広告主にとっては、より利便性の高い広告管理ツールを使用して、高い広告効果を得ることが可能になるという。

スポンサードサーチ Ver.3 広告管理ツール画面

スポンサードサーチ Ver.3の主な特徴としては、広告のマッチング精度の向上、スマートフォンやタブレットといったデバイスや地域、曜日・時間などのターゲティング機能の提供、レポート機能の強化などが挙げられている。

このうち、より少ない運用不可で、高い広告効果を得るための機能強化としてキーワードのマッチタイプ拡充が挙げられる。これまでスポンサードサーチでは、完全一致と部分一致をサポートしていたが、今回の移行でフレーズ一致と絞り込み部分一致が追加されている。

キーワードのマッチタイプ拡充

フレーズ一致は、これまでのスポンサードサーチの部分一致に搭載されていた機能だが、それを独立させたもの。また、絞り込み部分一致は、今回の移行で部分一致によるキーワード指定が意味的に拡張するため、意図しない拡張を制限するためのものと捉えることができる。

完全一致と部分一致については、言葉は同じだが、これまでのスポンサードサーチでの機能とは少し異なっている。これまでは、たとえば「引越し」や「引っ越し」などのキーワードを完全一致で入札した場合、自動的に「引越」というキーワードの基本形を類推し、ユーザーの検索意図に添うようになっていた。

しかし、Ver.3では、厳密に「完全一致」として捉えるため、「引越し」の場合には、ユーザーがその通りに検索した際にしか表示されない。これは、よりユーザーの入力したキーワードとのマッチング精度を高める一方で、インプレッションの減少にもつながる。

これまで完全一致で設定していても多くの場合は問題がなかったが、移行によって急にインプレッションの減少になることもあり、そのような場合には、同社ではこれまで「完全一致」で設定していたキーワードの「部分一致」への変更を勧めている。

ただし、この「部分一致」にも注意が必要。これまでよりも「部分一致」の範囲が意味的に拡張したために、不用意に「部分一致」に変更すると、広告主の意図とは異なるキーワードをターゲットとしてしまう場合があり得る。

そこで、「部分一致」への設定変更とともに「対象外キーワード」を設定するとよい。このように設定しておくことで、意図しないターゲットインプレッションを抑えつつ、より広い層にリーチできるようになる。

なお、対象外キーワードにもマッチングタイプを設定することができ、こちらも「部分一致」にしておくとよいとしている。

移行ではこのほか、対象外キーワードの設定可能数を増やしたり、キーワードアドバイスツールを強化したりといったことも行われている。