日本マイクロソフトとムビチケは7月26日、映画前売鑑賞券のオンライン販売サービス「ムビチケ」を8月下旬より提供開始することを発表した。マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Windows Azure Platform」上に構築されている。

ムビチケ

ムビチケは、角川メディアハウス、メイジャー、デジタルプラスの出資によって2011年7月7日に設立された企業。オンラインチケット販売サービスを軸とした映画業界のマーケティング支援を事業内容としており、資本金は1億5000万円。出資比率は、角川メディアハウスが73%、メイジャーが16%、デジタルプラスが11%。

ムビチケ 代表取締役社長の高木文郎氏

サービスの概要を説明したムビチケ 代表取締役社長の高木文郎氏は、その冒頭、「映画界は、これまであまりに多くの販売チャンスを逃してきたのではないか?」と問題を提起。TV通販を例にとり、「あちらは商品を紹介し、ほしいと思った消費者がその場で購入できる仕組みを用意している。さらに、そのとき限定の特典も提供して、迷っている消費者に購入を促す流れも作っている」と説明したうえで、「翻って、映画業界は、非常に高いクオリティの予告編を制作して消費者を魅了しているのに、その場で購入に結びつける仕組みがない。大きな機会損失を生んでいるように思える」と分析した。

ムビチケは、こうした問題を解決すべくスタートするサービスになる。各劇場のWebサイトなどが運営している現在の映画前売鑑賞券のオンライン販売サービスは、公開2日前~1週間前でなければチケットを購入できないが、ムビチケでは予告編の公開時期から購入できる機会を提供する。オリジナル壁紙や電子コミック、オリジナルサウンドトラックなどの特典をダウンロードできる機能も組み込むほか、チケット購入履歴を表示したり、見たいと思った作品をチェックしたりすることも可能。ユーザーの好みを加味したオススメ作品を紹介する機能なども搭載される。

また、ムビチケでは大手の映画興行会社と提携しており、前売鑑賞券を購入すると、劇場を選んで座席を予約することもできる。チケットは劇場の発券端末で発行できるため、前売鑑賞券を持ち歩く必要がない。そのうえ、数ヶ月以内にギフト機能も実装される予定で、こちらを使うと、友人/知人へメール1つで前売鑑賞券をプレゼントできるようになる。

一方、興行会社や配給会社にとっては、チケットの印刷/輸送コストを削減できるほか、窓口業務や半券集計業務の負荷が軽減され、売上げをリアルタイムに把握可能といった利点があるという。優れた特典を用意すれば、チケット販売促進効果も期待できる。

現在発表されている提携先映画興行会社は、角川シネプレックス、佐々木興業、松竹マルチプレックスシアターズ、東急レクリエーション、TOHOシネマズ、ユナイテッド・シネマの6社。この6社で、全国652サイト、3411スクリーンの約半分をカバーしているという。

発表会には、日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏(左)と、角川グループホールディングス 取締役会長の角川歴彦氏(右)も登壇した

なお、発表会では、Microsoft Windows Azure Platformを活用したことで、開発/運用コストを抑え、信頼性の高いシステムを実現していることも説明。話題の映画が発表された際には、膨大なアクセスが発生することも予想されるが、それに合わせてサーバを用意するとなると、通常時は稼動しないような余剰サーバを大量に設置しなければならない。しかし、必要なときに必要なコンピューティングリソースを割り当てることができるMicrosoft Windows Azure Platformであれば、常に最小限に近いコストでシステムを運用できることなどが強調された。

今後は、スマートフォン対応の第一弾としてWindows Phone向け専用アプリケーションの提供が予定されている。また、「MSNエンタメ」に劇場前売権特設ページを新設し、ムビチケへの誘導を図るという。