富士重工業は6月7日、東京大学と共同で、飛行中に機体が破損しても安定した自動飛行が可能となる、人工知能技術を用いたシステムの実証実験に成功したことを発表した。

今回開発したシステムは、学習機能を備えたソフトウェアにより故障の影響を吸収する自動操縦システムで、複雑な故障検知システムなどを追加することなく、機体破損のようなアクシデント後の安全性の向上に大きく貢献するもの。

今回の実証実験では、自動操縦中の実験機から右主翼の先端部約20%を分離・脱落させ、故障後もシステムの制御により安全に飛行を継続することを確認した。実験機は小型ビジネスジェット機のスケールモデル(全長約1.4m)で、機体設計を富士重工業が担当し、飛行制御に必要なセンサーや制御用コンピューターの開発・機体製作を東大が担当した。

この実験機に、富士重工業と東大がそれぞれ開発した異なる方式のニューラルネットワーク(人工脳神経網)を用いた飛行制御ソフトウェアを搭載し、いずれの方式でも飛行実証を成功させた。

飛行中に主翼の一部が分離しても飛行を継続する様子 (写真提供:東京大学)