リコーは、商業印刷や企業内大量印刷の分野であるプロダクションプリンタ(PP)事業拡大に向け、1,000万円以下の低価格モデル「RICOH Pro C751EX」と「RICOH Pro C651EX」を世界同時発表した。価格は、C751EXが948万円(税別)、C651EXが798万円(税別)。発売は6月20日を予定している。

「RICOH Pro C751EX」(オプション装着)とリコーの近藤史朗社長

リコー 代表取締役社長 執行役員 近藤史朗氏

同社では、5月26日に第17次中期経営計画を発表し、説明会を開催したが、その中でPP事業の拡大を表明していた。今回の新製品発表会でも、この点を改めて強調し、代表取締役社長 執行役員の近藤史朗氏は「以前、紙がなくなる世界もありうると述べたが、紙の分野で最も期待しているのがPP事業で、新製品は戦略的機種だ」と、新製品に市場拡大の牽引役としての期待を寄せた。

第17次中期経営計画での業績目標

PP事業拡大のための施策

リコー 取締役 専務執行役員 プロダクションプリンティング事業本部長 佐々木志郎氏

同社では、2008年5月に「RICOH Pro C900」を発表し、PP事業に本格参入。2010年10月には、同機種の後継となる「RICOH Pro C901」を発表している。PP事業を統括する取締役 専務執行役員 プロダクションプリンティング事業本部長 佐々木志郎氏は、「C901投入後、商業印刷分野が伸び、売り上げの伸長に大きく貢献している。市場はオフセットからデジタルへの流れが拡大しており、カラープロダクションプリンタは、伸び代の大きな分野。最低でも月400~500台は売りたい」と述べた。

RICOH Pro Cシリーズの状況

PP市場の変化

また佐々木は、PP事業における同社の強みとして、ユーザーがデータを持ち込んで印刷テストが行える検証センターを持っている、ファイナンス部分でのサポート、工場からユーザーに直送できるサプライチェーンの3つを挙げた。

同社では、2010年度1,500億円だったPP事業での売り上げを、2013年度には66%増の2,500億円に拡大したい考えだ。

中期計画でのPP事業の売り上げ目標

RICOH Pro C751EX/C651EXは、A3対応のカット紙用プロダクションプリンタで、C751EXは毎分75ページ、C651EXは毎分65ページの印刷が可能。いずれもコピー/スキャナ機能を標準搭載し、解像度は1,200×4,800dpi。給紙は、標準が2,200枚+500枚で、オプションで最大7,700枚まで搭載可能。外形寸法は、いずれもW1,320×D910×H1,816mm、重量は580kg以下。

新製品では、自社開発で同社初の面発光型半導体レーザー(VCSEL)技術を搭載。同時に40本のレーザービームを照射することにより、書き込み解像度で1,200×4,800dpiを実現し、文字や細線をより鮮明に、画像をよりリアルに再現することが可能になった。また、新開発の「現像冷却液冷システム」を採用し、冷却液を本体内に循環させることで、現像剤の温度を一定に保ち、長時間の安定稼動を実現する。同社によれば、稼働中でも交換可能なトナーや用紙補充機構の採用などにより、1カ月程度の連続印刷は可能だという。また、現像冷却液冷システムにより、従来の空冷式に比べ、筐体をコンパクトにすることも可能になったという。

VCSEL書込光学系システムの概要

自社開発の面発光型半導体レーザー(VCSEL)

「現像冷却液冷システム」

現像冷却液冷システムの装置

そのほか、オプションとして用紙スタッカー、紙揃え用のフィニッシャー、出力紙冷却、リング製本、小口裁断、紙折りユニットなどが用意されているほか、同社が提供する転写条件や定着条件を設定することで、用紙ごとの最適な印刷が可能だという。