日本マイクロソフトと東京ボランティア・市民活動センター(以下、TVAC)は5月27日、東京都内の児童養護施設および自立援助ホームを対象に、就労に役立つ基礎ITスキルの習得支援を共同で行っていくことを発表した。

支援活動を担当するマイクロソフト 執行役 法務・政策企画統括本部長 伊藤ゆみ子氏。「今年は東京都でノウハウ蓄積し、来年以降、東京都以外の地域でも展開していきたい」とコメント

東京ボランティア・市民活動センターの所長を務める山崎美貴子氏。「以前にマイクロソフトと協働で展開した、DV被害のある女性の就労支援と同様、今回の取り組みも、東京以外の地域に展開していきたい」と語った

同社は児童擁護施設について、「生活できるのは高校を卒業する18歳までとされており、入所者たちは高校卒業と同時に自立することが求められる」と説明。その一方で、経済情勢が厳しく、高卒者の就職が困難な状況に触れ、「彼らが施設を出ると同時に自立の道を確立するのは難しく、安定的な雇用につくための支援が必要とされている」と現状を紹介している。

こうした状況を受け、日本マイクロソフトは、東京都社会福祉協議会によって運営されているTVACと連携。「自立UPプロジェクト」と題し、東京都内の児童養護施設および自立援助ホーム21団体に対して支援を行っていく。

具体的には、IT講師の養成、カリキュラムとテキストの開発、PCの配備/インターネット環境の整備などを行い、ITスキル講習を児童養護施設・自立援助ホームにおいて実施できる環境を構築していくほか、プロジェクトで開発したテキストや運営ノウハウを広く提供したり、プロジェクトの成果からの政策提言を行ったりもしていく。

なお、ITスキル講習に必要なPCについては、日本マイクロソフト中古PC再生プログラムによって再生されたPC110台を各施設に5~6台ずつ設置。ソフトウェアは、Microsoft Windows 7、Microsoft Office 2010を同社が寄贈する。

プログラムの実施期間は2011年6月~2012年3月。プロジェクトの目標として、受講者数500名、就労支援イベント参加者数100名、ITスキル講習を受講した青少年の就労率30%という数字を掲げている。

5月27日にスタッフ向けに行われた講師育成講習の様子