iPhoneがユーザーの行動を分析できるような位置情報を収集していると指摘された問題で、4月27日(米国時間)にAppleはデバイス内の位置データの詳細を説明するQ&A形式の文書を公開した。位置データはユーザーのプライバシーを侵害するものではないとしている。

位置情報を研究するプログラマーのAlasdair Allan氏とPete Warden氏が、iPhone内にデバイスの位置を示す緯度/経度/時間の長期にわたるデータが存在すると指摘したのが、この問題の発端だ。データはiTunesを通じてパソコンにバックアップされており、Allan氏らは暗号化していないバックアップから容易にデータを読み取れることを実証した。

位置情報の収集はデバイスを持っている人の行動追跡に相当するという懸念が広がっているが、Q&AでAppleは「iPhoneのロケーションをトラッキングするものではない」「iPhoneはユーザーのロケーションのログを取っていない」ときっぱりと否定している。

デバイス内の位置データは、デバイスの位置ではなく、クラウドソースされたWi-Fiアクセスポイントと携帯基地局のデータをデバイスにキャッシュしたもので、これらはAppleからiPhoneに送られているという。例えばマップで現在地を表示する場合、iPhoneはGPSまたはWi-Fiアクセスポイントや携帯基地局との位置関係からデバイスのロケーションを判断する。GPSは正確だが、データのやり取りに時間がかかる。Wi-Fiアクセスポイント/携帯基地局の位置データベースを活用することで、素早く、またGPSを利用できない地域でも位置サービスの使用が可能になる。逆にWi-Fiアクセスポイント/携帯基地局のデータベース作成にユーザーのiPhoneが用いられているわけだが、このデータはデバイスや個人を特定できない形で暗号化されてAppleに送られているそうだ。

デバイス内の位置データがデバイスの正確な位置ではないとしても、デバイスの周囲にあったWi-Fiアクセスポイントや携帯基地局の情報が長期間にわたって残され、それを読み取れれば、大まかではあるもののデバイスの位置の追跡になり得る。デバイス内にキャッシュされた位置データが数年分に及んでいる点ついて、Appleはソフトウエアの問題(バグ)だったとし、位置サービスを支援する目的では1週間よりも長いデータが必要ないことを認めている。

また位置データに関して、位置サービスを無効にした状態でもiPhoneが位置データをアップデートし続けるという指摘が出ていた。これもAppleが意図したものではなく、バグであるという。

Appleは位置データに関する問題を修正するiOSソフトウエアアップデートを数週間中に提供する。デバイスにキャッシュされるWi-Fiアクセスポイント/ 携帯基地局のジオデータを7日分以内に縮小、位置サービスが無効な時のキャッシュを削除し、キャッシュデータをバックアップの対象から外す。

クラウドソースによるデータベース構築に関してAppleは、現在iPhone経由でトラフィックデータも収集していることを明らかにした。Wi-Fiアクセスポイント/携帯基地局と同様にデバイスやユーザーが特定されない状態で行っている。これは数年内により優れた交通情報サービスをiPhoneユーザーに提供するための取り組みだという。