F5ネットワークジャパンは12月9日、ファイルストレージ仮想化製品群「ARXシリーズ」の製品ラインアップを拡充することを発表した。「ARX Cloud Extender」、「ARX Virtual Edition」の2製品と、ARX向けのAPI「F5 iControl」が新たに加えられている。

F5ネットワークスジャパン 代表取締役社長 長崎忠雄氏

ARXは、ファイルストレージが複数存在する環境において、それらを1つのプールとして扱えるようにするファイルストレージ仮想化アプライアンス。端末とファイルストレージの間に配置することで、端末側に対して「グローバル・ネームスペース」と呼ばれる仮想ストレージ空間が用意され、物理構成にとらわれないファイルストレージボリュームが利用できるようになる。

ARXには、サービスを止めることなくストレージの追加が自由に行えるうえ、異なる種類のファイルストレージが混在する環境においても、ユーザー側からはプロトコルの違いを意識することなくファイルストレージを使用することができるといった特徴がある。また、各ファイルへのアクセス状況をモニタリングし、使用頻度の低いファイルは低性能の安価なストレージに自動的に移すといった管理機能も提供されており、効率的な運用が可能になるという。

米F5 Networks ディレクターのCharles Wood氏

今回発表されたARX Cloud Extenderは、このARXを「Amazon S3」などのクラウドサービスに対応させるためのソフトウェア。Windows Server上に配置し、ARX本体と接続させることで、ARXが扱う仮想的なストレージプールにクラウド上のリソースを追加することができる。通常、クラウド上のストレージサービスを利用するには、独自APIなどを使ってアクセスすることになるが、ARX Cloud Extenderではプロトコルを自動変換する機能を持つため、ユーザーからは他のファイルストレージと同様、CIFS/NFSでクラウド上のストレージサービスを利用できるようになる。

ARXとARX Cloud Extenderの関係

F5ネットワークスジャパン プロダクトマーケティングマネージャー 帆士敏博氏

なお、ARX Cloud Extenderが対応するクラウド型のストレージは、上記のAmazon S3と、「Iron Mountain VFSクラウドストレージ」、「NetApp StorageGRID」の3サービス/製品になる。提供開始時期は2011年度初頭が予定されている。

一方、ARX Virtual Editionは、ARXの仮想アプライアンス。OEMパートナー版、トライアル版、製品版の3種類が用意される。こちらも2011年度初頭のリリース予定。また、F5 iControlは、ARXの仮想ストレージ空間に外部からアクセスするためのAPI。ARX v5.2から利用が可能で、すでにF5のWebサイトにて無償で提供されている。