大阪大学 サイバーメディアセンター・センター長 情報メディア教育研究部門 教授 竹村治雄氏

マイクロソフトは12月7日、大阪大学のサイバーメディアセンターと提携し、大学におけるエネルギー消費の可視化に向けた実証実験「大阪大学CMCグリーンITプロジェクト」を開始したと発表した。同プロジェクトでは電力消費量を細かく収集し、分析結果をSharePointにて表示。学生や職員に対して"見せる化"も行い、行動パターンにどのような変化が現れるか分析していく。

今回のプロジェクトで大阪大学は、8階建て(地上7階、地下1階)のサイバーメディアセンター豊中教育研究棟に85の電力計測ポイントを設置。フロアごとの電力を計測できる環境を整備した。さらに、実習ルームなどが存在する5階については細かく計測器を設置し、部屋単位、コンセント単位での電力消費量を割り出せるようにしている。

システムの全体像

サイバーメディアセンター豊中教育研究棟 5階に設置された配電盤。指の先にある白いものが各部屋の電力を計測するセンサー。この配電盤の右側に多回路エネルギーモニターがあり、数値を収集している

各計測機により収集したデータは、学内に設置したMicrosoft SQL Serverで集計。その結果をSharePoint Serverに送り、グラフ化して学内のポータルサイトなどで表示する。グラフは、フロア別、部屋別、時間帯別、月間累積値、CO2換算値などが用意されているほか、Microsoft Visioと連携させてフロアマップの上で各部屋の電力消費レベルがわかるようにしたり、Windowsのデスクトップガジェットで自身が所属する研究室の消費電力量を通知したりすることもできる。

部屋別の消費電力を示すグラフ

月間の累積消費電力量のグラフ

時間帯別の消費電力量のグラフ

消費電力量から換算したCO2排出量のグラフ

Visioを使ってフロアマップで消費電力レベルを表示。この写真ではいずれの部屋も緑色だが、消費電力量が規定値に近づいたり超えたりすると、黄色や赤色に変わる

自分が所属する研究室の消費電力量などを表示するガジェット

マイクロソフト パブリックセンター 業務執行役員 文教ソリューション本部長 Manish Mishra氏

大阪大学では今後、こうして収集/分析したデータをデジタルサイネージなどを使って公共の場で掲示したり、メールなどで通知して消費電力削減を訴えたりする施策も実施する予定。それらの結果を比較し、施策と効果の関係も分析していく。

現在、実験結果は、関係者の間でのみ共有されている状態だが、大阪大学とマイクロソフトは今後、サイバーメディアセンターやマイクロソフトのWebサイトを通じて一般にも公開する計画。さらに、実験結果から得られたノウハウを大阪大学全体で共有するほか、他の大学や企業でも活用してもらえるよう、シンポジウムやセミナーを開催していくという。

なお、大阪大学ではすでに環境報告書を毎年提出しているほか、電気自動車の導入するなどのグリーン活動を実施している。さらに、創立80周年の節目を迎える来年に向けて大阪大学会館を整備しており、同施設の電力を賄うために屋上への太陽光発電パネルの設置も進めている。

握手する竹村氏とMishra氏