丸井グループと楽天は11月25日、eコマース事業などにおける業務提携について合意したことを発表した。「新しいビジネスモデルを展開し、ファッション業界をエンパワーメント」することを目標に掲げ、ネットとリアルの融合をアパレル分野で実現していく構えだ。

今回の提携により、両社はWeb、店舗、カードの各事業にかかわる3つの施策を実施していく予定だ。

丸井グループの経営戦略。Webサービスの"ウェブチャネルパーク"では、ネットで商品を予約し、店舗で試着/品渡しができるサービスを展開しており、非常に好調だという。今後はそのサービスを楽天にも拡げていきたいとしている

1つめは丸井の楽天市場への出店で、これは12月中旬ごろにスタートするという。商品はプライベートブランド(PB)衣料を中心とした人気のアイテムで、順次、ブランドアイテムに拡大していく方針だ。首都圏に多くの店舗をもつ丸井グループだが、楽天市場への出店により、全国規模で顧客を獲得するチャンスが生まれることになる。これはリアル中心のブランドをネットの世界へと近づける施策になる。

2つめは、楽天市場の出店店舗に対し、丸井店舗/店外催事への出店を提供すること。リアル店舗での販売機会はネット中心の店舗にとって大きな販売機会となる。これはネット中心の店舗をリアルの世界へ近づける施策だ。

3つめは丸井のクレジットカードであるエポスカードとEdyの連携だ。これは2011年1月中旬開始を予定している。エポスカードからEdyチャージを開始し、エポスポイントを付与するほか、おサイフケータイのEdy利用で、エポスポイントを付与するという。

楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏

両社は今回の提携合意に至るまで、約半年間にわたって協議を重ねてきた。楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏は「今日という日を迎えられて本当にうれしい。ネットショッピングはこの10年でようやく一般的になってきたが、リアルな店舗のもつ安心感にはまだ遠く及ばない。若い世代から絶大な支持を得ている丸井グループに、楽天のマーケティング施策は必ずフィットするはずだ。今後も顧客のライフスタイルに合ったビジネスを双方で模索していきたい」と語る。また、丸井グループの代表取締役社長 青井浩氏は「丸井はこれまでWeb通販事業にも取り組んできたが、今回、ネット企業のフロントランナーといえる楽天と提携したことで、顧客に対し、ネットとリアルの融合をより進んだ形で届けられるようになったと思っている。単なるeコマースを超えた協業ということで、我々も非常に今後が楽しみだ」とする。

きびしい経済状況がつづいていた百貨店業界だが、この10月の百貨店売上高は久々に前年実績を上回る売上を記録するなど、やや回復の兆しが見え始めている。この上昇を支えているのがアパレル部門だとされており、三木谷氏も「衣料品が元気になりつつある今、その衣料品でトップクラスに立つ丸井グループと提携することは大きい」と期待を見せる。 両社は今後もeコマースや金融サービスの分野で多角的な連携を行っていくと表明している。

握手を交わす楽天 三木谷会長と丸井グループ 代表取締役社長 青井浩氏(右)