米HP 通信・メディアソリューションズ開発統括本部 CMSプラクティス本部 本部長のオッタビオ・カルパレッリ氏

日本ヒューレット・パッカードは10月12日、通信事業者向けのクラウドサービス環境構築支援サービス「HP Cloud Service Enablement for Infrastructure as a Service」(HP CSE for IaaS)および「HP Cloud Service Enablement for Device Management as a Service」(HP CSE for DMaaS)を発表した。

両サービスは、通信事業者が中堅中小企業向けにクラウド形式のIT/通信サービスを始める際のインフラ構築を支援するサービス群「HP Cloud Services Enablement for Communications Service Providers」(HP CSE for CSP)のポートフォリオの一部として位置付けられている。

2つのサービスのうちHP CSE for IaaSは、その名のとおりIaaSを構築するためのもので、運用ソフトウェアを搭載したアプライアンス「HP BladeSystem Matrix」、アプリケーションの自動管理を実現するソフトウェア「HP Cloud Service Automation」、各種のSaaSを連携させるプラットフォーム「HP Aggregation Platform for SaaS」によって構成される。HP Aggregation Platform for SaaSには、HP CSE for IaaSの上でSaaSを提供する企業向けのサービス登録機能や、エンドユーザーのサービス利用状況を管理し、それに応じた課金を行うための機能などが組み込まれており、IaaSを始めるうえで必要なものがひととり用意されている。

HP CSE for IaaSサービスのライフサイクル

HP CSE for IaaSの機能構成

一方、HP CSE for DMaaSは、携帯電話やスマートフォン、ノートPCなどのモバイルデバイスを管理する機能を備えたクラウド形式のサービスになる。モバイルデバイスのファームウェア更新やコンフィギュレーション設定、アプリケーション管理、セキュリティ設定、データバックアップなどの機能を提供する。

HP CSE for DMaaSの概要

モバイルデバイスの管理機能の例

米HP 通信・メディアソリューションズ開発統括本部 CMSプラクティス本部 本部長のオッタビオ・カルパレッリ氏は、こうしたサービスの提供背景について、「通信事業者の法人向けビジネスを見ると、ある程度の予算を持つ大手企業に対しては専用のシステムを組んで行き届いた対応ができているが、それほど予算のない中堅中小企業に対しては有効なサービスを用意できていないというのが実情。そこで、HPがこれまでに培った経験やノウハウを活かし、汎用的な機能を揃えるクラウドサービスの構築支援を行うことで、中堅中小企業に対しても有効なサービスを提供してもらおうというのがねらい」と説明。続けて、「これからの時代、特にモバイルデバイスの管理は、中堅中小企業においてもビジネスを安全に進めるうえで必須となる。例えば、携帯電話をなくしたときには、デバイスをロックしたり、データやアプリケーションを消去しなければならなくなるし、管理者の立場からするとどのデバイスにどんなソフトウェアがインストールされているかを把握しておく必要もある。さらには、すべてのデバイスに対してファームウェアの更新を確実に適用する機能など、モバイルデバイスを適切に管理するためには非常に多くの機能が求められる」とコメントし、パートナーとともに中堅中小企業のニーズに対応できる環境構築に力を入れていくことを強調した。