日本アイ・ビー・エム システム製品事業担当 専務執行役員 薮下真平氏

日本アイ・ビー・エムは10月8日、使用頻度に応じてデータを階層間で自動再配置できる「自動階層管理」、複数のストレージ装置を1台として管理できる「仮想化」機能をミッドレンジのディスクストレージ製品「IBM Storwize V7000」を発表した。

同日、同製品に加えて「IBM System Storage SAN ボリューム・コントローラー」と「IBM System Storage DS8800」の機能強化も発表された。

システム製品事業担当 専務執行役員 薮下真平氏は、「Storwize V7000はSAN ボリューム・コントローラーの機能を埋め込んだ画期的な製品。今年は多くのストレージの新製品を発表したが、どれも新たな機能が盛り込まれている。これからも今までには存在しなかった製品を提供していきたい」と、同製品に対する自信をアピールした。

日本アイ・ビー・エム システム製品事業 ストレージ事業部長 山崎徹氏

製品の詳細については、システム製品事業 ストレージ事業部長の山崎徹氏が行った。同氏は「IDCの予測によると、今年は情報量が1,200エクサバイトであるのに対し、ストレージの容量は700エクサバイトしか用意されておらず、いわばストレージが不足している状況だ。われわれはこうした情報量とストレージ容量の格差を縮めていきたいと考えている。その柱として、"ストレージ資源の使用率"、"サービス水準に応じた管理の自動化"、"物理データの容量の削減"の3点を据えている」と説明した。

今回発表されたStorwize V7000は「ストレージ資源の使用率」と「サービス水準に応じた管理の自動化」を実現する製品だ。

ストレージの効率化に向けたIBMの方針

IBM Storwize V7000の特徴は、自動階層管理を行う「System Storage Easy Tier」」、仮想化機能を提供する「SAN ボリューム・コントローラー」、管理ツール「XIV」を搭載している点だ。

Easy Tierは、SSDとHDD間で過去24時間の使用頻度に応じて自動的にデータを再配置する機能で、これまでは最上位機種にのみ搭載されていた。データの管理単位の容量はチューニングすることができ、16MBから対応している。同社の検証では、全容量の2%にSSDを活用した場合は約2倍、全容量の10%にSSDを活用した場合は約3倍の性能が向上するという結果が出ている。

また、SAN ボリューム・コントローラーの機能により、150種類を超えるベンダーのストレージの接続をサポートしており、物理ディスクの容量を最大8ペタバイトまで拡張することが可能。接続したディスクは仮想化機能により一元管理できるほか、オンラインでのデータ移行にも対応している。「日本市場を踏まえ、富士通やNECのストレージシステムにも対応している」と山崎氏。

XIVベースの管理ツール直感的に操作できる点を特徴としており、セットアップも図示された操作の流れをクリックするだけで、設定が行える。

IBM Storwize V7000の管理ツールの画面

"Storwize"は同社が7月に買収を発表したリアルタイムでのデータ圧縮技術を有するベンダーの名称である。山崎氏は「データを賢く格納するという意味を込めて、今回、製品名に"Storwize"を冠した。Storwizeが持っていたデータ圧縮アプライアンスはStorwizeというブランドは使わず、第4四半期にリリーする予定」と説明した。

SAN ボリューム・コントローラーの新版「v6.1」における機能強化点としては、Easy Tierの対応、XIVベースの管理ツールの搭載、接続ストレージ装置数の拡張、相互接続性の向上がある。Storwize V7000搭載の機能との相違点は、制御装置の拡張性、最大キャッシュ容量、最大ボリューム数など。

IBM Storwize V7000とSAN ボリューム・コントローラーの相違点

IBM Storwize V7000の最小構成価格は607万5,000円、SAN ボリューム・コントローラーの参考価格は10BT搭載時で1430万円となっている(いずれも税別)。

IBM Storwize V7000