富士通は7月29日、2010年度 第1四半期(4~6月期)の決算を発表。売上高は1兆472億円とほぼ前年並みとなったものの、すべてのセグメントが黒字となり、営業利益は100億円、経常利益は66億円、純利益は16億円という結果となった。

富士通 取締役執行役員専務(CFO) 加藤和彦氏

同社 取締役執行役員専務 加藤和彦氏は、「年初計画では若干の赤字スタート(営業利益ベースで前年比100億円強の改善)を見込んでいた」とのことだが、結果的に営業利益は前年同期の371億円から471億円の大幅改善となる100億円となり、黒字に転換した。

今回、2006年度以来となる(全セグメント)黒字スタートになった要因として同氏は、「円高と(事業譲渡した)HDD事業の影響を除くと実質的には700億円の増となる」という増収効果と、「国内を中心とした売上の前倒しやコスト圧縮などが寄与した」と説明。収支に関しては「金融危機前の水準まで回復してきた」とした。

セグメント別の状況は以下の通り。

  • 「テクノロジーソリューション」
    売上高は6657億円(前年同期比-70億円)。営業利益は85億の黒字(前年の133億円の赤字からは199億円の改善)となった。SIなどの国内事業はほぼ前年並みの状況だが、アジアパシフィック地域が堅調に推移。欧米が厳しい状況であり、とくに英国では("事業仕分け"のような施策が行われている影響で)新規商談が停止状態。ハードウェアではトラフィック増などを背景に、ネットワークプロダクトが伸びを見せている。

  • 「ユビキタスソリューション」
    売上は2768億円(前年同期比+227億円)。営業利益は106億円(同-11億円)。PCは海外市場で厳しさ続くものの、「モバイルウェア」がアジアを中心に伸びる。コストダウンと増収効果で「低価格化」の影響は吸収しているが、スマートフォンを含めた新機種等の研究開発が加速。そのため開発費がかさんでいる状況。

  • 「デバイスソリューション」
    売上高は1585億円(前年同期比+290億円)。営業利益は60億円(同+221億円)。特にLSIについて、デジタルカメラ、PC、携帯電話、自動車向けなど、すべての分野において年明けから受注が拡大している状況

なお同社は、第1四半期決算の内容を受けて2010年度の上半期の業績予想について、営業利益(250億円→350億円)と経常利益(200億円→300億円)を上方修正した。ただし、「下期の状況については、とりわけPCやモバイルウェアの市場状況が読みきれない」とし、通期での業績予想は据え置きとした。