米オンライン動画配信サービスのHuluは6月29日(現地時間)、米国でサブスクリプション方式の新サービス「Hulu Plus」の招待制プレビューを開始した。月額9.99ドルで、ABC、FOX、NBCを含む100以上のTV番組プロバイダからのコンテンツを自由に視聴できるオンデマンドサービスだ。

HuluはYouTubeでの違法投稿が深刻な問題であった2007年に、テレビ番組の合法的なネット配信を開拓するためにNews Corp.とNBC Universalが設立した。一時は「YouTubeキラー」と呼ばれたTV番組のストリーミング配信サービスだ。現在はABCの親会社であるWalt Disney Companyも出資している。

広告ベースの無料サービスHuluで視聴できるのは、現行シーズンの数週間分または古いシーズンなどに限られるが、Hulu Plusでは現行シーズンと過去のシーズンを幅広くカバーした数多くのコンテンツへのアクセスが可能。その多くを720pのHD画質で視聴できる。プレビューサービスの対応デバイスは、Windows PC/Mac、iPad/iPhone/iPod touch、Samsung製のネット対応TV/ Blu-rayプレイヤー/ Blu-rayホームシアターシステムの一部など。さらに数カ月中にPlayStation 3、SonyやVisioのTVおよびBlu-rayプレイヤーの一部でも利用可能になる。2011年にはXbox 360も対応するそうだ。

iPad/iPhone/iPod touch、TV、パソコンなど幅広いデバイスに対応

米国ではHulu PlusのようなTV番組のサブスクリプション形式のオンライン配信サービスが、有料の衛星放送またはCATVサービスの代わりになる可能性に注目が集まっている。衛星・CATVのパッケージには不要なチャンネルが多く、自分たちが見たい番組を受信するだけで十分という視聴者も多い。その有力候補としてAppleのiTunes StoreとHuluが挙げられており、まずはHulu Plusが登場した。

Hulu PlusはプレビューサービスからTV、モバイルデバイス、パソコンをサポートし、さらにゲーム機にも広がっていく。ネット対応デバイスで幅広く視聴できるのがWebサービスの魅力であり、その点は確実に押さえている。一方でTV番組をサブスクリプションサービスとして提供するには、少なくとも4大ネットワークの主要な番組を網羅する必要があるが、CBSの参加を得られていない。他にもTime WarnerやViacomなど、コンテンツプロバイダの大きな穴を埋めるのが正式サービス提供までの課題になる。