帝人ファイバーは5月18日、「セルフォーム」と呼ばれる2次元通信シートを利用したRFIDによる書籍管理システムを開発。千葉大学附属図書館と共同で実証実験を開始したと発表した。

「セルフォーム」は同社が8.4%を出資する東京大学発のベンチャー企業 セルクロスが共同で開発した2次元通信シート。通信シートに信号を封じ込め、シート表面に発生する電磁波(エバネッセント波)を利用して2次元通信を実現する。ケーブルではなく、シートという「面」を使ってセキュアな通信が行えるのが特徴とされる(イトーキがすでに「LANシート」として2年前に製品化)。

「セルフォーム」による2次元通信の技術概要(資料: 帝人ファイバー)

同システムでは、長距離での読み取りに特徴があるとされるUHF帯が利用され、近距離での安定した読み取りも可能にする。この特徴を生かすことで、図書館業務における書籍の在庫一括点検や書籍管理のための出入り口のゲートの拡張を行うことなどができるようになるという。また、近距離での読み取りが安定することで、「書籍が手に取られた回数のデータ収集などを実現する」とされており、書籍のみならず薬品や店頭商品などにおけるマーケティング用途での活用も想定される。

今回の実証実験について千葉大学文学部教授 附属図書館ライブラリー・イノベーション・センター室員 竹内比呂也氏は、「千葉大学の『授業資料ナビ』でとりあげられた資料が、授業と関連してどのように利用されるのかを理解するための基礎データの収集という意味を持ち、大学図書館の学習支援機能の評価・改善や授業そのものの改善にもつながる」とし、「実験の結果に高い期待を寄せている」というコメントを発表している。