アサヒビールと農研機構九州沖縄農業研究センターは4月13日、「高バイオマス量サトウキビ」の新品種を用いて、砂糖生産量を確保しつつ、低コストで大量のエタノールを生産可能な「砂糖・エタノール複合生産プロセス」を開発したと発表した。

砂糖・エタノール複合生産を実現する高バイオマス量サトウキビ「KY01-2044」

育成された新種の高バイオマス量サトウキビ「KY01-2044」は、従来種と比べて、単位面積当たりの収量(原料茎重)が1.5倍、全糖収量が1.3倍、繊維量が1.8倍となる。

今回、沖縄県伊江村伊江島の実験プラントで、この新品種を用いて、従来の砂糖生産量を維持したまま、耕作地面積当たり5倍以上のバイオエタノール生産性が見込めることが「砂糖・エタノール複合生産プロセス」により明らかになった。

具体的には、同プロセスは従来のプロセスよりに対して結晶化工程を1回に減少させても、高バイオマス量サトウキビ新品種による製糖原料の増大により、従来と同程度の砂糖が回収でき、さらに1回結晶化後の糖含量の多い糖蜜を原料とすることで、大量のエタノールを生成できる。

今回の検証で、バガス(サトウキビ搾汁後の繊維性の残渣)を用いて、すべての製造エネルギーを自給するカーボンニュートラル(排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素の量が同じ)なプロセスについても実証されている。

同プロセスにより、エタノールの増産、設備投資費用やランニングコストの削減が期待でき、さらに燃料となるサトウキビのバガス増産によって化石燃料が不要となるため、CO2排出削減効果が期待される。

砂糖・エタノール複合生産プロセスの仕組み

サトウキビ・エタノールを中心とした循環モデル