日本アイ・ビー・エムは4月13日、BI/データウェアハウス専用アプライアンス「IBM Smart Analytics System」シリーズのラインアップとして、同社x86サーバを採用した「IBM Smart Analytics System 5600」「同 5600S」、メインフレームを採用した「同 9600」を発表した。

同社は昨年9月、同シリーズの第1弾として、POWERサーバを採用した「同 7600 」を発表しており、今回、対応プラットフォームが追加されたことになる。

Smart Analytics Systemのラインアップ

米IBM Vice President Software Group Worldwide Sales Information Management and Business Analytics Neil Isford氏

米IBM Vice President Software Group Worldwide Sales Information Management and Business AnalyticsのNeil Isford氏は、「現在、インターネットに接続するデバイスが増え、それに伴ってデータ量が爆発的に増える一方、データの80%は体系化されていない。また、トランザクションも急激に増加している。そうしたなか、企業はサーバ、ストレージ、ソフトウェア、ミドルウェアなどをワークロードごとに最適化する必要がある。それに役立つのが、Smart Analytics System」と説明した。

Smart Analytics Systemは、分析ソフトウェア、データウェアハウス、ハードウェア、ソフトウェア、サービスと、ビジネスにおける分析に必要な要素をすべてワンパッケージで提供する。

Smart Analytics Systemの構成

日本アイ・ビー・エム 理事 ソフトウェア事業 Information Management事業部長を務める下垣典弘氏は、「BIシステムに対するアプローチは2つある。1つは単一アーキテクチャによるアプローチで、もう1つはワークロードに応じて最適な環境を提供するアプローチだ。当社が提供するのは後者」と説明した。

今回、容量・用途・サービスレベルに対する顧客の多彩なニーズに応じるために、IAサーバベースの5600とメインフレームベースの9600が発表された。

Smart Analytics System 5600にはSystem xが採用されており、ワークロードの実行環境がモジュラー化されている。これにより、ハードウェアとソフトウェアを置き代えることが不要な形で拡張性が実現されている。また、オプションとしてSSDを提供することで、ディスクアクセスのレスポンスを改善する。価格は5600が7,710万円から(データ容量は12TBから)、5600Sが9,722万円から(データ容量は18TBから)となっている(いずれも税抜)。

一方、Smart Analytics System 9600にはSystem zが採用されており、ゼロダウンタイムを実現可能な高信頼性を求める顧客に向けた製品だ。同製品もオプションでSSDを利用可能であり、安価に高速性を実現する。価格は未定。

今回、顧客分析に必要なデータモデルとテンプレート「IBM InfoSphere Warehouse Pack for Customer Insight」の提供も開始された。価格は1サーバ当たり570万円(税抜)。

下垣氏は、「どんな業種にとっても、顧客はビジネスの課題を解決する際の要素となる。そこで、顧客視点で分析を行うにあたって有用なツールを提供するのが、InfoSphere Warehouse Pack for Customer Insightだ」と説明した。

InfoSphere Warehouse Pack for Customer Insightは、業界共通のデータモデルと分析モデルを物理実装しているほか、InfoSphere Information Serverで利用できるメタデータ、Cognosのサンプルレポートも提供される。

「これまでのSmart Analytics Systemは、BIソフトウェアツール群を搭載するアプライアンスにとどまっていた。しかし、InfoSphere Warehouse Pack for Customer Insightの提供により、顧客視点による分析まで行えるようになった」

InfoSphere Warehouse Pack for Customer Insightの概要

新Smart Analytics Systemファミリーの特徴

同社は昨年4月に、ビジネスの分析と最適化の支援を専門とするコンサルティング組織「ビジネス・アナリティクス・アンド・オプティマイゼーション(Business Analytics and Optimization 以下 BAO)」を構築し、今年1月には組織人員の倍増を発表しているが、この組織との連携も図っていくという。