米Microsoftは12月2日(現地時間)、同社のインターネット地図サービスを大幅に機能強化した『Bing Maps Beta』を発表した。従来のBing Mapsに3Dアニメーションやストリートビュー機能を付与して「街を探検する」感覚を前面に押し出したものとなっている。利用にはSilverlightが必須で、現在のところWebブラウザにInternet ExplorerまたはFirefox、英語版のみのサポートとなっている。「Explore Bing Maps」からベータ版の利用が可能になっている。

新「Bing Maps」のメイン画面。検索窓以外の画面全部がSilverlightで描画されている

Bing Mapsでは通常の地図と航空写真による地域探索のほか、バードビューと呼ばれる斜め上からエリアを俯瞰した視点、そして新たに「Streetside」という名称のストリートビューが追加されている。ユーザーの設定にもよるが、地図をズームインするごとに広域図 → 詳細地図 → バードビュー → Streetsideと段階的に視点が変化し、それらがアニメーション効果で自然につながるような感じで展開する。Streetsideは実際に市内をカメラがまわって撮影した風景が見られるほか、バードビューではポリゴンで作成された3Dモデルを通して立体的に地形を把握できる。米Associated Press (AP通信)によれば、これら3Dモデルはレーザー測定で作成されたもので、Streetside機能とともに全米56都市をカバーしている。とはいえ現在はまだベータ版であり、Streetsideも対応都市の一部のエリアしかカバーしていない状態だ。

選べる地図モードは3種類。通常の道案内地図に航空写真、そして3Dモデリングを多用したバードビューで構成される。Automaticを選ぶと、地図の拡大具合に応じて地図モードを自動で切り替える


前述のように、新Bing Mapsでは地域探検が1つのテーマとなっている。検索窓に都市名やアドレスを入力すると、その地域の地図が表示されるとともに、左ペインにはその都市の天候や見所情報などが一覧表示される。交通情報やレストラン情報、ホテル情報など、必要な情報をすぐに引き出せる点がセールスポイントだ。またStreetsideでは美術館などの前に立って入り口をクリックすると、Photosynthで作成された空間を探検できるという機能が用意されている。Microsoftによればニューヨークのメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)などでこの機能が体験できるという。

Photosynthでユーザーが投稿した画像を利用して現地巡りができる。Streetsideと組み合わせると、さまざまな観光スポット巡りができて楽しい

また地域探検を助けるツールとして、Bingでは「Map apps」を用意している。全16種類のアプリが用意されており、例えば前述のレストランや交通情報に加え、さまざまなアプリを順次追加していくことで、その地域でのTwitterのつぶやきや新聞の一面を読めたり、Photosynthによる建物探検が可能になるなど、さまざまな仕掛けがオーバーレイで地図上に展開されていく。ベータ版ということもあり、Photosynthや前述のStreetsideなどの動作が非常に重かったり、途中で何も表示されなくなるなどの不具合が散見されるが、今後順次改良されていくだろう。ネットでの街歩きには最適なツールなので、ぜひ一度試してほしい。

新機能「Streetside」。青枠で表示された部分のエリアの360度視点写真を表示する。ただしエリアは現時点で比較的限られている

通常の地図モードからStreetsideに移行するとき、観測ポイントに飛び込んでいく様子が3Dアニメーションで表現される。「Dive into Streetside」と表記されているが、まさに地図の世界に"ダイブ"する印象だ

Streetsideの表示イメージ。画像は左右方向に360度自由に動かせ、2段階で拡大できる

Bing Mapsには「Map apps」と呼ばれるツールチップが用意されている。"Mural"と呼ばれる街の"らくがき"を表示させるツールなどもある

Map appsで追加したツールチップは左ペインの「My Legend」の項目に次々と追加され、オーバーレイ形式で重ねて表示できる。ツールチップの種類を増やしすぎると重くなってフリーズするので注意。ピンの打ち込まれた箇所をクリックするとツールで提供される詳細情報が参照できる