NECは11月16日、周囲の雑音により通話音質の低下が避けられない環境で、「高い雑音消去性能を得ること」、「それに伴って生じる音声歪みを小さくすること」を両立する技術を開発したと発表した。

同技術は、主に話者の音声を収集するマイク(音声マイク)と、主に雑音を収集するマイク(雑音マイク)の2方式を用いる。これらにより、雑音マイクが収集した雑音成分が多い音を基に、音の波形を調整可能な適応フィルタによって生成した「雑音に似た音」(擬似雑音)を音声マイクに入った雑音から減算することで雑音を消去する。

適応フィルタは足し算と簡単な掛け算をだけを行うので、音声の歪みを抑えることが実現されてる。また、音の到来方向の情報を用いないため、従来は消去が難しかった不特定方向から来る雑音の消去にも対応できる。

音声の大きさは、雑音を消去した音声と擬似雑音を用いて自動的に推定する。音声が大きい時は影響を受けないよう適応フィルタの特性をあまり変えず、また、小さい時は雑音の変化を俊敏にとらえるよう特性を大きく変えることで、音声の歪みを抑えながら雑音を消去する。

上記の処理でも消えない雑音は、「音声マイクで収集した音声の周波数特性」と「過去に推定して得た雑音の周波数特性」を用いて連続的に推定する。推定した特性に合わせて雑音成分を低減する。

同社は今後、同技術を携帯電話での通話や情報機器による音声認識などへの活用に向けて、研究開発を進めていく。