SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスプロセスプラットフォーム本部長 福田譲氏

SAPジャパンは11月11日、BI(Business Intelligence)製品「SAP BusinessObjects Explorer」の新版を発表した。

SAP BusinessObjects Explorerは、企業内に集積された情報をキーワードで検索し、さまざまなかたちに視覚化できるBI製品。Webアプリケーションとして提供されており、直感的なインタフェースでインタラクティブに操作できる点が大きな特長で、対象ユーザーは経営者から営業/マーケティング/在庫管理などの業務部門まで幅広く設定されている。2年前のBusinessObjects買収を機に、旧BusinessObjectsの検索/UI技術とSAPのDWH(Data WareHouse)技術を統合するかたちで開発された。

SAP BusinessObjects Explorerの位置づけ

同製品は、データ数が数百万件程度の環境を想定した「Standard Version」と、データ数が数億件以上の環境を想定した「Accelerated Version」の2種類が用意されている。後者は、大容量データを高速に処理できるよう、検索処理高速化エンジン「SAP NetWeaver Business Warehouse(以下、SAP BW) Accelerator」とインメモリデータベースをバンドルし、アプライアンス型の製品として提供されている。ただし、SAP BW Acceleratorは、これまでSAPが提供するDWH製品「SAP BW」を対象としたものになっていたため、SAP BWを導入済みの企業でしか利用できないという制限があった。

SAP BusinessObjects ExplorerにはStandard VersionとAccelerated Versionの2種類が存在

新版では、そのAccelerated Versionが、SAP BW以外のDWH/データベースにも対応するようになった。SAP BW Acceleratorがバージョン7.2にアップデートされるのに伴い、「Data Services」と呼ばれるモジュールを追加。同モジュールがさまざまな種類のデータソースに対してETL(Extract/Transform/Load)処理を施し、高速検索環境を構築する。

SAP BusinessObjects Explorer Accelerated Versionの構成

SAPジャパン バイスプレジデント ビジネスプロセスプラットフォーム本部長の福田譲氏は、「SAP BusinessObjects Explorerを使えば、何のデータを見ればよいかわからないような状態でも、検索したり、詳細情報へとドリルダウンしたりしながら、答えを数秒で見つけられる。今までは、このソリューションをSAP BWを導入した企業にしか提供できなかったが、今後は、あらゆるユーザーに提供できるようになった」と説明し、新版の意義を強調した。

SAP BusinessObjects Explorerの画面

なお、今回の製品リリースは、「旧BusinessObjectsテクノロジーとSAPテクノロジーの融合が第2段階を完了したことを意味する」(福田氏)と言い、今後はAcceleratorが対応するBI製品群を増やしていくほか、DWH専業ベンダーのTeradataとの協業製品リリースなどを計画しているという。

旧BusinessObjectsテクノロジーとSAPテクノロジーの融合作業のスケジュール

また、福田氏はSAP BusinessObjects ExplorerのiPhoneアプリケーションが近日中に提供される予定であることも発表。すでに自社でSAP BusinessObjects Explorerのライセンスを購入していれば、同アプリケーション(プロトタイプ版)のライセンスは無料で自由にダウンロードして、自社のSAP BusinessObjects Explorerに接続できるという。

近日リリース予定のSAP BusinessObjects ExplorerのiPhoneアプリケーション。ライセンスは無料