パナソニックは10月2日、ノートPCなどで使用されている18,650サイズ(直径18×65mm)のリチウムイオン電池を用いた1.5kWhタイプの電池モジュールを開発し、今後、家庭用太陽光発電や燃料電池による蓄電システム、電気自動車(EV)や電動二輪車用電源などの各種電源として供給する考えを示した。

パナソニックが開発したる18,650サイズのリチウムイオン電池を用いた1.5kWhタイプの電池モジュール

同社はこれまでも業界最高レベルとなる高容量リチウムイオン電池の開発・実用化を行ってきた。今回のモジュールはこの実績を基に、独自のニッケル系正極材料による高容量・高耐久セル技術と、耐熱絶縁層を正極と負極間に設けて異物混入による短絡熱暴走を防止するセル安全化技術を採用した。出願中を含む国内38件、海外22件の関連特許を活用し、電池モジュールを多直列および多並列接続することにより実現した。

約7リットルの体積、約8kgの重量で、電圧25.2V、電気容量58Ahを実現。140個のリチウムイオン電池を20並列、あるいは7直列で接続し、電力を供給するため、一部のセルが故障してもシステムの稼動停止を回避できるというメリットがある。電池モジュールを組み合わせることで、家庭用蓄電やEV用動力源など、様々な用途に対応が可能な点も特徴と言える。

リチウムイオン電池を用いた蓄電システムは、他の二次電池を利用したものに比べ高容量・軽量であるほか、地球温暖化対策に向けたEVへの採用など、その実用化に注目が集まっている。2009年度には6,000億円だった市場規模が、2012年度には1兆3,000億円、2018年度には3兆2,000億円へと、5.3倍に拡大すると見込まれている。

同社では、「移動体車両への採用、再生エネルギーの導入に伴う蓄電システム需要の増大、非電力化地域での独立電源の確保の用途としてのほか、新興国のバックアップ蓄電池需要の増大、ネットブックによる2台目需要の拡大、高性能なスマートフォン需要の増大などに伴う利用拡大が見込まれており、さらなる高容量化、高出力化、小型、軽量化に加え、高い信頼性と安全性およびハイコストパフォーマンスが求められている。今回の技術は、これまでの専用電源、専用セル/モジュールという制限をなくし、多用途対応電源化するとともに、汎用セル/モジュールを採用したことも特徴となる。活用範囲の自由度を高めている」としている。

同社では、大阪市内に建設中のリチウムイオンの新生産拠点において、2009年度から源泉棟の稼働を開始。2010年4月にはセルの生産を開始し、年間3億個の生産規模にまで一気に引き上げる。量産ノウハウの蓄積による高信頼性、源泉から完成品までの一貫生産体制などによる高効率化を実現した形で、量産化を図れるという。

なお、同電池モジュールは、10月6日から千葉市の幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN2009」、10月7日から大阪市南港のインテックス大阪で開催される「新エネルギー産業フェア大阪」に参考展示される。