日本能率協会マネジメントセンター BTルート営業本部 販売促進部長 二宮昌愛氏

日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は9月29日、同社が実施した調査結果をベースに導き出した「2010年版の手帳トレンド」を発表した。

説明を行った日本能率協会マネジメントセンター BTルート営業本部 販売促進部長 二宮昌愛氏はまず、手帳市場の規模を紹介。それによると、現在の手帳市場の規模は推定1億冊で、法人向け販売が60~70%、市販が30~40%を占めるという。市場の伸びは、不況下の現在でも依然として微増傾向にあるようだ。

手帳市場の規模は推定1億冊

そうした規模感を示した後、二宮氏は、最近行った調査に基づく手帳市場のトレンドを説明。2010年版手帳の大きな傾向としては次の4つが挙げられるとした。

  1. ボーダーレスの中で起きている複雑な手帳選び
  2. 「自分仕様」に楽しむ手帳周辺ツールが増加
  3. 若い世代の手帳サイズはA6サイズが主流
  4. 手帳活用の悩みは"様々な使い分け"

以下、順に見ていこう。

ビジネス手帳とカジュアル手帳のボーダーレス

二宮氏は、手帳トレンドの最初のトピックスとして、ビジネス手帳とカジュアル手帳におけるボーダーレス化を挙げた。

従来、ビジネスマンが利用するビジネス手帳はデザインよりも実用性を重視、主に女性がプライベートで利用するカジュアル手帳はデザイン偏重で使いづらい、という傾向にあったが、最近ではビジネスマンもデザインを気にするようになり、女性も使いやすさを求めるようになった。その結果、デザイン性に優れるビジネス手帳や、実用性の高いカジュアル手帳が増え、両者の境目がはっきりしなくなってきているという。

特に昨今では、女性向けの雑誌やWebサイトで手帳を活用したスキルアップ記事が増えており、「その影響から、カジュアル手帳の進化が顕著」(二宮氏)と言う。具体的には、使い方の説明や目標記入欄を設けたり、ジャバラの予定表を付けたりしたものが登場してきている。

ビジネス手帳とカジュアル手帳のボーダーレス化が顕著

手帳周辺ツールの増加

同社の調査で手帳に対する要望として4番目に多かったのが、「付属以外の資料を差し込み、自分仕様の手帳にしたい」という意見だ。

そうした世相を反映するかのように、最近では、付け足し可能な別売りパーツが数多く登場。年間予定表や定規付きしおり、クリアファイル、メモ帳などが売れているという。

手帳に対する要望の4番目に「付属以外の資料を差し込み、自分仕様の手帳にしたい」がランクイン

また、差し替え用表紙や、手帳に取り付け可能なペンホルダー、手帳用消しゴム、手帳用バンドといったアイテムも販売されはじめており、自分仕様にカスタマイズして楽しむユーザーが増えてきている。なお、差し替え用表紙については、「以前は本革のものばかりだったが、最近では塩ビ製のものが多い」(二宮氏)と言い、そのあたりからも「ビジネスパーソンがカジュアルなものを好んでいることが伺える」(二宮氏)と説明した。

若い世代はA6サイズ

二宮氏によると、これまで最も多く使われていた手帳は、ポケットに収まる小型サイズだっという。ところが、今年の調査では文庫本と同じ大きさのA6サイズがNo.1に輝いた。

その理由を二宮氏は「鞄に入れて持ち歩く人が増えたため」と説明。ポータビリティよりも書き込むスペースが多いほうを好む傾向にあり、「書くこと」への意識が高まっていると解説した。

この傾向は特に若い世代で強く現れており、20代では64.8%、30代では51.2%がA6サイズを使用しているという結果が出ている。

20代、30代でA6サイズが人気

使い分けが大きな悩み

先ほども触れた手帳に対する要望で1位、2位にランクインしたのが、「月間予定表/週間予定表を目的に応じて使い分けたい」「仕事とプライベートをきちんと使いわけたい」という意見だ。

手帳に対する要望の1位と2位は使い分けに関するもの

前者については、「オンもオフも忙しい30代女性で特に多い悩み」(二宮氏)と言い、予定が多い人にとっては、一覧性を確保しつつ詳細を書き込めるようにするのが難しいことを表している。

こうしたニーズに応えるべく、最近ではさまざまな形式のスケジュールページが提供されている。例えば、同社では、プロジェクト管理などで使われるガントチャートや、日をまたがって予定を書き込める横ケイタイプ、週末の予定もまとめて管理できるカレンダータイプなどの月間予定表を販売中だ。

さまざまな形式の月間予定表

また、2位の仕事とプライベートの使い分けについては、以前は男性は仕事中心、女性はプライベート中心というかたちではっきりと分かれていたのに対して、最近では男性でも女性でも両方で活用したいという要望が高まっているという。

そうした要望に応えるべく、最近では、自宅カレンダーと同様に1週間が日曜日で始まるビジネス手帳や、土日の欄を平日同様に設けるビジネス手帳などが増えているようだ。