ニールセン・カンパニー合同会社は29日、米国における2009年上半期(1~6月)の広告費用動向を発表した。全体の広告費は569億ドルで前年同期比15.4%減、ネット広告費は1.0%減。業態別では、スマートフォンなど多機能携帯電話の広告費が104.0%増と大きく伸長した。

同社の発表によると、米国における2009年上半期の広告費は103億ドル減少し、総額569億ドル(約5兆1千億円)。広告媒体(メディア)別広告費は、前年同期比1.5%増のケーブルテレビ、0.6%増のスペイン語ケーブルテレビ以外はすべて前年割れとなった。インターネットは1.0%減、ネットワークテレビは7.0%減、新聞全国紙は22.8%減、BtoB雑誌は31.8%などとなっている。

2009年 米国メディア別 広告費用対前年同期増加率

業態別の広告費トップは自動車業界の約37億ドルだが、前年同期比31.4%減と広告費を大幅に削減している。地方の自動車ディーラーも同様に 26.2%削減(約17億ドル)となった。業態別2位はクイックサービス・レストラン(ファースト・フード)で約22億ドル。不景気に強い業態とされ、前年同期比5.1%増となった。

広告費が大幅に増加している業態は、スマートフォンやPDAなどの多機能携帯電話関連で104.0%増。AppleのiPhone、T- MobileのSidekickなどのプロモーション活動が要因としている。また、ケーブルテレビサービスの広告費が、デジタル放送移行にともなう広告費用増で62.0%増。Webサイトやコンピュータソフトの広告費も40%以上増加している。こうしたメディアへの投資を高めている業態について、ニールセンの広告情報サービス部門のバイス・プレジデント、アニー・トーリアトス氏は「現状の不況下にも関わらず自社の商品に可能性を見出しており、事業の成功に向けて広告を活用している」と説明している。