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Webアプリケーションの中には、どのブラウザとどのOSをサポートしているかが掲載されるものがある。主な理由はサポートしているブラウザとOSを明示することで責任の範囲を明確にし、サポートにかかるコストを削減することにある。しかしこれは、目的とする効果以上に、マイナス効果の方が強いかもしれない。

Craig Buckle氏がSitePointにおいて5 Reasons Why You Should Not Publish Supported Browser Listsのタイトルのもと、Webアプリケーションにサポートブラウザリストを掲載すべきではない5つの理由を紹介している。紹介されている理由は次のとおり。

特定のブラウザではなくすべてのブラウザをサポートすべき

Webアプリケーションは特定のブラウザや特定のOS向けに依存して開発するのではなく、Webに対して開発されるべき。そういった開発は簡単なものではないが、Web標準への準拠とプログレッシブエンハンスメント (累進的拡張)の手法が開発を手助けしてくれる。商用的に考えて効果があると判断される場合にはCSS/JavaScriptをサポートしていないブラウザ向けのサポートでさえ考えることも意味がある。

サポートリストの掲載はメンテナンスを強要する

すべてのブラウザとOSの組み合わせを試験することは不可能であるため、掲載できるサポートリストは試験できる範囲での限定的なものになる。また、こうしたリストは公開した瞬間から古いものになってしまう。たとえばFirefox 3.5をサポートしていると掲載した場合、Firefox 3.5.1や3.5.2はどうなんだ、という話になる。

サポートリストはサポートしていないブラウザを強調する

多くのブラウザをサポートしたとしても、結局のところサポートしていないブラウザを強調することになる。ユーザが愛用しているブラウザがリストに掲載されていなければ、たとえそれが問題なく動作するとしても、好みのブラウザが掲載されていないことに懐疑心を感じてしまう。また特定のブラウザしかサポートしないことは独占的な裏があるのではないかという疑念を生む可能性もある。

貧弱な試験環境を露呈する

開発工程で問題を修正することは簡単であり、開発中に複数のブラウザに対応するよう頻繁に修正を繰り返すことには意味がある。このため、サポートしているブラウザが主流の2、3のブラウザしかなかった場合、ユーザはアプリケーションの確実性に疑問を感じる可能性がある。

ユーザを減らす可能性がある

WindowsにおけるFirefox 3.5をサポートしていると掲載した場合、たとえそれがMac OS XやLinuxで動作したとしても、そうしたユーザが利用するのを遮ってしまう可能性がある。サポートブラウザを掲載するのはサポートにおけるコストを削減するためだが、よく試験されたWebアプリケーションはあまり多くのサポート要求は受けないし、利用するユーザが減ることは本当に必要になる問題の洗い出しをしてくれるユーザとその機会を失うことを意味している。