米Novellは9月14日(現地時間)、iPhoneアプリの開発を.NETやC#を使って行うことを可能にする開発環境「MonoTouch 1.0」を発表した。MonoTouchはNovellが支援するオープンソースプロジェクトのMono Projectをベースにしており、これまでiPhone開発に必要だったCやObjective-Cを使用せずとも.NETと同フレームワーク上で動作するC#や各種言語での開発が可能になる。

SDK公開から1年半ほどで急速に盛り上がりつつあるiPhoneやiPod touch向けのアプリ市場だが、その理由は手軽に入手できる開発環境とApp Storeの存在にある。ゲームなどのホビー市場だけでなく、ビジネス市場向けアプリケーションや自社のオンラインサービスを専用アプリとして提供するサービスプロバイダも増えており、コンシューマ/ビジネスの両面で利用が広がりつつあるというが業界の認識だ。だが一方でAppleは開発環境の利用に制限を加えており、iPhone上にさらにフレームワークを構築する仕組み、例えばJust-In-Time (JIT)コンパイラやスクリプトエンジンの実装を許していない。これは結果として、同社が提供するCやObjective-Cといった開発言語とiPhone SDKを組み合わせた開発しか行えないことになる。

MonoTouchはオープンソースの.NET実行環境「Mono」をベースに開発されたツール環境で、.NET Frameworkに加え、C#など同フレームワーク上で動作する開発環境各種を組み合わせ、使い慣れた環境でiPhoneアプリの開発を可能にする。MonoTouchは.NET Frameworkを使って作成されたアプリケーションをiPhone SDKに準拠したネイティブコードに変換するため、上記で説明したような制限を回避できるとNovellでは説明する。

MonoTouchにはPersonal EditionとEnterprise Editionの2種類が用意され、Enterprise Editionは開発者1名あたりの1年サブスクリプションが999ドル、開発者5人を対象とした同時使用ライセンスパックが3,999ドルとなっている。Personal Editionは開発者1名あたり1年サブスクリプションで399ドルとなる。なお、Enterprise Editionにはメンテナンスとアップデートサービスが含まれる。詳細はNovellストアを参照のこと。