サイバーセキュリティ強化を公約に掲げる現Barack Obama(バラク・オバマ)大統領政権だが、この戦略の要となる中心人物の選定でつまずいている。英Reutersなど複数のメディアの報道によれば、前Bush(ブッシュ)大統領政権時代からサイバーセキュリティ政策の中核に位置し、オバマ政権がスタートしてからも60日間のサイバーポリシー制定で中心人物として活動していたMelissa Hathaway氏が8月3日(現地時間)、同部門のトップにあたる"Cyber Czar"の職を辞任したという。

現在米国では、国外からのサイバースパイによる国家システムへの攻撃、そしてSNSやP2P経由での内部からの相次ぐ情報流出など、サイバーセキュリティに関する問題が噴出している。一方で技術的問題や人材不足から対策が後手にまわっているという指摘もあるなど、ある意味で国防における最も重要な課題となりつつある。サイバーセキュリティ強化を掲げるオバマ大統領により、Hathaway氏は2009年2月にActing Senior Director for Cyberspace for the National Security and Homeland Security Councilsの役職に就任していた。

就任からわずか半年での辞任となるが、その理由を「同部門の役職を埋めるのに時間がかかりすぎたこと」と説明しているようだ。米Washington Post紙の取材に対し「これ以上待ち続けるのは私の本望ではない。変化を推し進めていくだけの必要な権限がいま時点で私にないからだ」とも同氏はコメントしている。また同職を辞任後は政府関連の職場を離れ、民間企業へと活動のベースを移すようだ。