警視庁のまとめによると、2008年の都内における侵入窃盗の認知件数は1万1,434件。このうち空き巣による被害は6,258件に達している。ともに年々減少傾向にあるものの、一日あたりの平均は、東京都内だけでも侵入窃盗が31件、空き巣は17件以上発生している計算だ。さらに、被害場所別では、一戸建てが23.4%、アパートや3階以下のマンションが30.9%、4階建て以上の中高層住宅で14%となっている。空き巣の侵入手段では、いずれの場合もガラス破りがトップ、以下無締り、施錠開けの順に多くなっていることが明らかにされている。
こうした統計データから、侵入窃盗犯罪を防ぐ手段として"補助錠"の取り付けを勧めるのが、安全生活アドバイザーの佐伯幸子氏だ。9日の「ロック(錠前)の日」に行われた美和ロックによるプレスセミナーで、佐伯幸子氏は補助錠の重要性を語った。
「警備会社は費用も高い。さらに、通報して警察が駆けつけるまでに10~15分ほどかかり、どうしても事後報告になってしまう。これは犯人にとっては十分な時間。でも、補助錠なら1万円台から3万円程度で導入しやすい上に、侵入防止策としては効果も高い。ワンドア・ワンロックの住宅はすぐにでも補助錠を取り付けてほしい」(佐伯氏)。
警視庁のデータでも、犯人が侵入をあきらめた理由の1位は「近所の人に見られた・声を掛けられた」が62.9%と圧倒的。以下「ドアや窓に補助錠が付いていた」(34.3%)、「犬を飼っていた」(31.4%)、「機械警備システムが付いていた」(31.4%)と続いている。また、侵入をあきらめる時間として、約7割が「5分以下」と回答しているという。
また、旅行などで長期不在にする場合の防犯策のポイントは、"人の気配を感じさせること"だという。「犯人は外から見て部屋が明るいと在宅していると判断する傾向がある。新聞を止めたり、郵便物の不在届けを出すというのはもちろんのこと、タイマーを使って夕方にテレビをつけたり、外から見える部分の明かりをつけておくと効果的。省エネに反するかもしれないが、防犯のための必要経費だと思うくらいの意識を。カーテンは明かりが少し洩れる程度に閉めておくのがいい」と佐伯氏。
一方、宅地内をセキュリティシステムを張り巡らすような過度な警備体制を施した場合にも注意が必要と佐伯氏は話す。「いくら高度な警備設備に投資しても、古い家屋であったりすればプロの窃盗犯から見れば節穴だらけ。要は客観的に見ること。肝心なことができていなければ意味がない」とし、窓に補助錠を設置するなど、侵入経路となるすべてのポイントに防犯対策を施すことが重要だと説明した。