オンラインオークションと決済サービス大手の米eBayは、2010年前半にも同子会社であるSkypeを独立会社として分離する計画だ。経済紙の米Wall Street Journal (オンライン版)が4月14日(現地時間)付けの記事でeBay CEOのコメントとして報じている。Skypeのスピンオフは株式公開(IPO)を通じて行われることになる。

Skypeはルクセンブルグを拠点に2003年に設立され、無料の音声チャットソフト「Skype」の開発と配布を行っている。2005年にeBayによって26億ドルで買収された。北米を中心にオークションとPayPal決算システムで巨大なシェアを持つeBayにとって、Skype買収は話題の注目企業を手中に収めると同時に、そのチャットシステムを同社顧客のコミュニケーションツールとして活用する狙いがあった。だが思ったほどの相乗効果は得られず、結果としてSkypeはeBayにとっての重荷となりつつあった。

そうしたなか、同社を設立した共同創業者のNiklas Zennstrom氏とJanus Friis氏は最近になり、複数の投資会社の支援を受けてeBayからSkype事業を買い戻す動きに出ている。交渉自体は両名の提示した買収価格が、当初eBayがSkypeに出資した額である26億ドルを下回っていたことから破談したと、同件に近い筋の情報としてWSJが紹介している。同紙によれば、Skypeの昨年の売上は5億5100万ドルで、この数字がIPO時の目標時価総額の目安となりそうだ。eBayはSkypeのIPOにあたり米Goldman Sachsに協力を仰いでおり、IPO後も株式の一部を保有し続ける見通しだ。