IDC Japanは29日、2008年上半期の調査結果に基づいた2008年-2012年国内IT投資規模予測と、産業分野別IT投資動向について発表した。それによれば、IT投資の伸びは、国内景気の低迷により2009年における一部の業種で堅調に推移するものの、全体的には対前年比1.0%弱の増加と鈍化傾向にあるという。

2008年のIT投資成長率を産業分野別に見ると、特に組立製造、公共/公益、消費者で鈍化しており、2007年の前年比成長率に比べて3.0ポイント以上下落。一方、2008年のIT投資が堅調だった産業分野は、銀行、保険、プロセス製造、運輸/運輸サービス、医療、一般サービス/その他分野で、内部統制や環境対応、事業継続などのコンプライアンス対策や産業分野特有の課題解決への取り組みにおいてITを積極活用している。

これらの産業分野の2008年におけるIT投資前年比成長率は3.0%以上で、中でもプロセス製造業のIT投資の伸びが食の安全/安心に向けたトレーサビリティシステムへの取り組みを中心に、活発化しており、この勢いは2009年も継続するものとみられるという。

産業分野別IT投資成長率の推移 2008年-2010年(出典:IDC Japan)

2008年のIT投資額上位の産業は通信/メディア、組立製造、銀行の各産業分野であり、この傾向は2009年も持続するという。

2009年におけるIT投資の対前年成長率を見ると全体では1%前後の増加に留まるが、プロセス製造は4%弱、運輸/運輸サービスおよび一般サービス/その他は3%前後のプラス成長になるもようだ。

IDCは「IT投資の伸びに鈍化傾向がみられる中、コンプライアンス対策や法規制対応を目的としたIT投資が引き続き多くの産業分野において実施されるものとみている。ITベンダーは新たな法規制に向けたソリューションの開発、他部署間における事例情報の共有、他社との業務連携といった対策を強化する必要がある」と指摘している。