セキュリティソフトを提供するG DATA Softwareは28日、「ネット犯罪者たちが、マネーロンダリングを行う人材をリクルートするためのスパム送付に力を入れている」として、在宅バイト勧誘を装ったメールに注意するよう呼びかけた。

G DATA Softwareによると、2009年に入ってからの1カ月、ネット犯罪組織からの求人を内容としたスパムが急増していることをGDATA Security Labsが発見。

「簿記や経理業務の経験者を急募、しかも在宅勤務で楽に働ける」。

一見すると、どこにでもあるような内容のこのようなメールが、「実は、ネット犯罪者たちがフィッシング詐欺やネットオークション詐欺などで手に入れたお金を洗浄する仕事、つまりマネーロンダリングのための求人の恐れがある」という。

この場合、実際に「取引担当」として雇われると、銀行口座を用意し入出金の処理を行う。世界各国から入金を受け、それらを雇用主の口座に振り込み。

「場所としては東欧が多く、ウェスタンユニオンなどの送金サービスが利用されている」(G DATA Software)。振り込んだ金額の3~5%が報酬として渡されるという。

同社によると、こうしたメールの件名は、「即金提供」「簡単迅速に稼げる仕事」「短時間で高収入」「在宅簡単ビジネス」など。

メール本文のキーワード例は「職を獲得! 」「1週間500ユーロ最低保証」「多くのお金を手に入れてください」「誰でもできる仕事」「簡単に儲かる方法」などが挙げられるとしている。

マネーロンダリングは、組織犯罪処罰法で「犯罪収益を隠匿した者は5年以下の懲役または300万円以下の罰金」とされる重罪。「相手や内容もよく分からないまま気軽にバイト感覚で仕事をはじめた時点でネット犯罪シンジケートに加担したことになり、いつ摘発を受け逮捕されてもおかしくない」(G DATA Software)。

同社では、「大変な時期ではあるが、身元が不明なメールによるリクルートには対応しないで、すぐにメールを破棄すべき」と注意を呼びかけている。