カナダの通信機器メーカーNortel Networksは1月14日(現地時間)、カナダおよび米国の裁判所に破産法による資産保護の申請を行ったと発表した。カナダの企業債権者調整法(Companies' Creditors Arrangement Act)ならびに米連邦破産法11章(Chapter 11)の下で再建を進めていくことになる。このほか、同社は欧州を中心とするEMEA地域の現地法人でも同様の申請を行う見込みだ。またアジア地域や南米など、他の地域の部門については通常営業を続行する。

Nortelはカナダのトロントを拠点とする大手ネットワーク機器メーカーで、特に音声関連の通信機器を得意とする。ニューヨーク証券取引所(NYSE)とトロント証券取引所(TSE)に上場しており、欧州地域や日本など各国に拠点を持つ。同社は米AT&Tの流れを汲むBell Canadaの通信機器部門のスピンオフが発祥で、当初はその名前をNorthern Electricとしていた。その後、電話網システムで必要となるデジタル交換機や光ケーブル事業に注力するようになり、1970年代に名称をNorthern Telecomへと変更した。1998年にはスイッチやルータなどIPネットワーク装置メーカーの米Bay Networksを買収、名称をNortel Networksに変更して現在の総合ネットワーク機器メーカーとなった。ドットコムブームに沸くなか、Bay Networksは1990年代にネットワーク業界でシェア獲得競争に参戦した主力ベンダーの1つ。当時Bay Networksのコンシューマ機器部門だったNetgearは、現在もそのブランド名でビジネスを続けている。

米Avaya、米Cisco Systems、米Lucent Technologies (現在は仏Alcatel-Lucent)などと並び、VoIPなどの音声通信機器ではトップベンダーの一角となるNortelだが、昨今の経済情勢悪化やそれに伴う設備投資抑制などを受け、近年急速に業績が悪化していた。2008年11月に発表された直前の四半期である2008年度第3四半期(8-10月期)決算では、売上が23億2000万ドルで前年同月比14%のマイナス、またGAAPベースで34億1300万円の純損失を計上するなど大幅な落ち込みとなった。特にキャリア向けの通信機器やメトロイーサネット事業の落ち込みが激しく、9月に同四半期の予備決算を発表した際にメトロイーサネット事業売却を含む全社的なリストラクチャリングを表明していた。