映画『アラトリステ』のプロモーションのため、ヴィゴ・モーテンセンが約3年ぶりに来日。記者会見が行なわれた。

アカデミー主演男優賞にノミネートされた『イースタン・プロミス』や『ロード・オブ・ザ・リング』(アラゴルン役)でおなじみだが、「日本に着いたばかりで、起きているのか寝ているのか、夢を見ているのかわからない状態」と笑いながらも、特徴のある渋い声で丁寧に質問に答えてくれた。

前作『イースタン・プロミス』で絶賛された"鋼の肉体を持つ男"も、スーツを着ていると知的で優しい紳士といった印象。このギャップも彼の魅力の一つだろう

本作はスペインでベストセラーとなっている歴史小説が原作の17世紀スペインを舞台とした、剣士・アラトリステの物語。スペインが誇る無敵艦隊がエリザベス女王指揮下の大英帝国軍に破れて次第に衰退していく頃、時代に翻弄されながらも強く優しく生きた男たちを描いている。"ヴィゴ作品"になくてはならないアクションシーンも、もちろん盛りだくさんだ。

日本人記者の質問をも「だいたいわかります」とのこと。英語、フランス語、スペイン語、スウェーデン語、ノルウェー語と6カ国語に堪能なヴィゴだが、そのうえ日本語とは!

ヴィゴ・モーテンセンは、今回5度目の来日。自身も親日家だが、彼の息子ヘンリー・モーテンセンが日本文化を学んでおり、来日前に"サムライ"の本をプレゼントされたという。「息子は日本語の読み書きができるし、サムライの映画もよく見ている。17世紀の日本、つまり宮本武蔵のことや剣術についてもよく知っているんだ。彼からもらった本を読んで、アラトリステと武蔵は似ていると思った。道徳、倫理観、プライドという点でサムライと共通点があると思ったよ」。

また、彼とこの作品で共演していることも明かし、「息子はオランダ人兵士役で、僕が殺す役。彼から『(殺すことが)本当だったら絶対許さないよ!』と言われたよ(笑)」と話した。

見どころのひとつに、愛し続けたマリアにネックレスを贈るシーンを挙げたヴィゴ。「映画には、撮影とセット、衣装、照明などすべてがうまくいく瞬間がある。相手役のアリアドナ(・ヒル)は僕に与えてくれる女優だったから、すばらしいシーンになった。出演している僕が見ても美しいと思うシーンだよ」。

(C)Estudios Picasso/Origen PC/NBC Universal Global Networks Espana 2006

また、「毎日この作品のために準備しながら、キャストやクルーと一緒に大きな家族のような気持ちで友情を育んできたんだ。どこまで友情のためにできるか、どこまで犠牲を払えるかということを考え、みんなで必死に、このストーリーを語ってきたように思う。それは映画の中と共通することだと思う」と本作への思いを語った。

『アラトリステ』は12月13日(土)より、シャンテ シネほか全国順次ロードショー。