米国防総省が運営するMilitary OneSourceが米軍関係者専用のビデオ共有サービス「TroopTube」を開始した。これまで米国外の米軍基地では一般のビデオ共有サービスの利用が禁じられていたが、TroopTubeを通じて海外基地所属者が米国内の家族や友人とビデオメッセージをやり取りできるようになる。

TroopTubeは米軍所属者や国防総省の職員のほか、それらの家族や友人など一般市民もビデオを投稿できる。利用するには登録が必要。投稿ビデオには20MB以内、5分以内という制限が設けられている。個人宛のプライベートメッセージ、特定の部署向けのサポートメッセージなど、ビデオごとに公開範囲の設定が可能。検索機能も用意されている。ただしコメントや埋め込み用のリンクなどはなく、YouTubeなどに比べると機能はシンプル。ビデオを公開するためのサービスではなく、メッセージとして届けるためのサービスにとどめられている。

米軍はビデオ共有サービスの活用に積極的である。YouTubeを通じてリクルート用の情報を配信したり、一般からの意見収集に利用している。その一方で、米国外の基地所属者が、現地の苛酷な映像をビデオ共有サービスで公開するというような問題に直面。また海外基地におけるオンラインサービス利用の急増が基地の通信帯域を圧迫するおそれも出てきたため、2007年にYouTubeやソーシャルネットワーキングサービスなどの利用を制限した。

Associated Pressによると、TroopTubeはDelve Networksの技術を利用している。通信の状況やユーザーの環境に応じて、最適なサイズでビデオをストリーミングするため通信帯域の問題が解決される。またアップロードされたビデオの内容が軍の規則や著作権保護に反していないかを確認するツールも用意されているという。つまりユーザーはプライベート設定でビデオをアップロードできるものの、実際には送り届けられる前にスクリーニングを受けることになる。同ツールはビデオの音声をテキスト化し、代名詞や助詞などを省いた後にデータベースに照らし合わせる。単語のマッチングだけではなく、違反サンプルとの類似性も検討されるため、音声認識が単語を正確にテキスト化できなかったとしても類似性から問題のあるビデオが識別されるという。