米IBMは10月16日(現地時間)、同社2008年第3四半期(7-9月期)の決算報告を行った。8日に行われていた予備決算報告どおり、同四半期の売上は253億ドルで前年同期比5%アップ、純利益は28億ドルで20%のアップだった。希薄済みEPSは2.05ドル。サービスやソフトウェア事業の伸びが大きく、特にソフトウェアの売上伸び率が12%と大きい。

金融市場の世界的混乱のなか、事前に発表されていた予備決算報告通りの好業績となった。同社会長で社長兼CEOのSamuel Palmisano氏は「今回の結果は、安定した通常利益、世界中の顧客に価値を提供する一連の製品とサービス、そして強力で柔軟な資金的ベースの組み合わせが、良い時も厳しい時もIBMに好ポジションを与えることを示すものだ」とコメントしている。また主要国では生産性向上に努め、新興国では将来の成長に向けた投資を活発化させることが、今後の厳しい状況の中で生き抜くための原動力になるとも述べている。以前ほど強気な見通しを示さなくなったものの、依然として業界での競争力はトップクラスにあるというのが同氏の意見だろう。

地域別にみると、南北アメリカ地域が105億ドルで前年同期比3%アップ(為替調整前で2%)、EMEA(欧州/中東/アフリカ)地域が89億ドルで10%アップ(同4%)、アジア太平洋地域が52億ドルで6%(同1%)となる。過去数四半期の決算と同様、ドル安による為替差益が売上を押し上げている状態だ。

Global Services部門総合は前年同期比で8%の売上アップとなり、その内訳はGlobal Technology Servicesが8.5%アップの99億ドル、Global Business Servicesが6.8%アップの49億ドルだった。サーバ製品などのハードウェアを扱うSystems and Technology部門の売上は今回も減少しており、9.5%ダウンの44億ドル。興味深いのは、UNIXサーバのSystem pが7%アップ、x86サーバのSystem xが18%減少とやや厳しい状況ながら、メインフレームのSystem zが49%アップと大幅に躍進している点だ。統合サーバのSystem iは82%減少と今回も大幅なダウンとなってしまった。

ソフトウェア部門の売上は52億ドルで前年同期比11.8%のアップ。このうち、WebSphere、Information Management、Tivoli、Lotus、Rationalといったミドルウェアやツール製品の売上が41億ドルで12%のアップとなっている。一方でOSのライセンス販売も5億9400万ドルで5%アップと若干増加した。ミドルウェア製品群でも特に伸びが大きいのがInformation on Demand戦略の中核となるInformation Management製品群で、26%の伸びを見せている。それに開発ツールのRationalの23%増、情報コラボレーションツールのLotusの10%増が続く。