認証・暗号化ソリューションを提供するウティマコ セーフウェアは8月20日、統合型セキュリティ製品の最新版「SafeGuard Enterprise 5.30」の提供を開始した。SafeGuard Enterpriseは、ファイル・サーバ、デスクトップPC、ノートPC、PDA、スマートフォン、リムーバブル・メディア、電子メールなどといったさまざまな場所にあるデータに対して、認証・暗号化・監査などの機能を付与し、それらを集中的に管理するためのソフトウェア。

ウティマコ セーフウェア 代表取締役 ヤーン・ボスフェルト氏

最大の特徴は、暗号技術とDLP(Data Leak Prevention:情報漏洩防止)技術を組み合わせることで、データの保存、移送(持ち出しや転送)、活用のすべてのフェーズにおいて、データやデバイスごとに認証・暗号・監査といった処理が可能になっていること。ウティマコ セーフウェアで代表取締役を務めるヤーン・ボスフェルト氏は、「集中管理されたモジュール型の製品であり、異なるプラットフォーム上のデータに対し、360度のセキュリティを提供するものだ」とアピールする。

例えば、共有フォルダ上のデータには、ファイル単位で個人認証をかけることができ、ダブルクリックで閲覧できるデータと閲覧できないデータを併存させることができる。また、ある個人が自分が閲覧できるデータをUSBメモリなどで持ち出そうとすると、ドラッグ&ドロップでコピーした時点で自動的に暗号化処理が施され、持ち出してからは閲覧ができなくなる。さらに、PCに接続するリムーバブルメディアごとに固有の属性を読み取って、デバイスごとに接続を許可/不許可することも可能になっている。

SafeGuard Management Centerの管理画面。USBメモリを接続するためホワイトリストを作成

ホワイトリストに登録されていないUSBデバイスを接続すると、エラーが表示され、利用付加に

これらの機能は、SafeGuard Enterpriseの中核となる集中管理機能モジュール「SafeGuard Management Center」に、機能別の6つのモジュールを追加して構成されるかたちとなる。6つのモジュールのうち、2つは今後リリースされる予定で、前バージョンまでに、ノートPCやデスクトップPC、PDAなどデバイス単位で暗号化する「SafeGuard Device Encryption」、リムーバブル・メディアや電子メールといったデータ交換の際に暗号化処理を施す「SafeGuard Data Exchange」、Windows VistaのBitLockerなどサードパーティ製品と連携するための「SafeGuard Partner Connect」という、3つのモジュールが提供されてきた。

そして、今回の新バージョンでは、新たに、PCのポートを制御し、承認されていないリムーバブル・メディアの使用を禁止する「SafeGuard Configuration Protection」モジュールが追加。さらに、今年末までに、グループポリシーに対応したファイル共有を実現する「SafeGuard File & Folder Encryption」が、2009年上半期に、コンテンツの監視/フィルタリングを行う「SafeGuard LeakProof」がそれぞれ出荷される予定となっている。

SafeGuard Device Encryptionでドライブを暗号化した画面。緑色のチェックマークがついたファイルは開けるが、赤色のチェックマークがついたファイルは認証でエラーとなり閲覧できない。

ユーザーが閲覧できるファイルであっても、外部メモリにコピーした時点で、自動的に暗号化処理が施され、持ち出し後は閲覧不可となる。

また、新バージョンでは、機能強化も施された。具体的には、Device Encryptionと Data Exchangeの2つのモジュールをスタンドアロンで動作できるようになったほか、対応プラットフォームとして、Windows XPに加えて、Windows 2000とWindows Vistaが追加された。また、これまで単体製品として提供されていたハードディスク暗号化ソフト「SafeGuard Easy」のユーザーを対象に、SafeGuard Enterpriseにマイグレーションするサービスも提供する。

最低販売ライセンス数は50ライセンスからで、価格は、必須となるSafeGuard Management CenterにSafeGuard Configuration Protectionを組み合わせた場合で、それぞれ1ライセンス3,200円から、2,800円からとなっている。

スマートフォンにインストールされたPDAモジュールの画面。ログイン時の認証では、文字認証、アイコン認証、サイン認証が選択できる。

なお、本社となる独ウティマコ セーフウェアAGは、欧州最大手のセキュリティ・ソリューション企業であり、製品ユーザー数は世界60万を数える。日本法人は2005年に設立され、国内のユーザー企業数は、グローバル企業を中心として約100社程度という。ボスフェルト氏は、「日本でも個人情報保護法の施行以降、セキュリティ意識は高まりを見せてきた。2010年以降は、データを中心としたエンドポイントのセキュリティへの関心を高める企業はさらに増えるだろう。セキュリティ専業プロバイダーとして、そうした企業に特化したソリューションを提供していきたい」と語った。