文化庁は8日、私的利用を目的とした録音録画機器に課金する「私的録音録画補償金」の課金対象に、iPodなどの携帯音楽プレイヤーなどを含める制度見直し案を明らかにした。だが、これらの製品に課金されることになるメーカー側は、「縮小することになっているはずの私的録音録画補償金制度が、逆に拡大されることになる」と反発を強めている。

私的録音録画補償金制度は、私的使用を目的とした個人または家庭内での著作物の複製について、一定の割合で録音録画機器のメーカーから補償金を徴収し、著作権権利者への利益還元を図るもの。

だが、iPodなどの携帯音楽プレイヤーやHDDレコーダー、次世代DVD、PCといった現行の補償金制度外の機器についても対象に含めるよう求める権利者側と、著作権保護技術の進歩を理由に同制度の縮小を求めるメーカー側の主張は大きく異なっており、文化庁の「私的録音録画小委員会」で両者の調整が図られてきた。

8日開かれた同委員会の第2回会合で文化庁が提示した同制度の見直し案では、音楽CDからの録音と無料デジタル放送からの録画を前提とし、iPodなどの音楽プレイヤーとHDDレコーダーを補償金の課金対象とすることが提案された。

ただし、補償金額の決定にあたっては、これらの前提とは異なる、インターネット経由の音楽配信での使用率などを考慮した上で決定すべきとしており、従来の録音録画機器との違いも打ち出している。

また、PCについては、「現状では、録音録画を主たる用途としている機器とはいえない」として、課金対象から外すよう提案している。

だが、見直し案に従えば音楽プレイヤーやHDDレコーダーに課金されることになるメーカー側は、「縮小することになっているはずの私的録音録画補償金制度が、逆に拡大されることになる」と反発。委員会で権利者側との意見調整がまとまるかは予断を許さない状況だ。

これについて、文化庁長官官房 著作権課 著作物流通推進室 企画調査係長の清田正郁氏は、「私的録音録画補償金制度については、基本的には縮小・廃止の方向にあり、今回文化庁から示した案も暫定的なものといえる。今後も委員会で権利者とメーカーの調整の進展を促していきたい」と話している。