国立高等専門学校機構とマイクロソフトは25日、共同で進める「高専連携グリッドプロジェクト」が来年にも本格的に始動すると発表した。本プロジェクトは、全国の国立高等専門学校が保有する教育用PCにマイクロソフトの「Windows Compute Cluster Server 2003」を搭載し、大規模なグリッドコンピューティング環境を構築しようというもの。最終目標としては、約6,500台のPCを利用する。実現すればノード数では国内最大級となり、スーパーコンピュータ並の計算能力を提供できる。

現在、国立の高等専門学校(高専)は全国に55校ある。保有する教育用PCの数は1校あたり数百台で、55校すべてを合わせるとその数は約1万台にものぼる。しかし、これらはつねに稼動しているわけではない。そこで本プロジェクトではこれらを有効活用するため、PCの余剰能力を集約し、高い処理能力を必要とする分野の演算に割り当てる。さらに、こうした環境を作ることで、高い能力を持つ技術者を育成することも目的として掲げている。

国立高等専門学校機構の理事である小田公彦氏は「2004年の独立法人化の際、大学は1校1校が別法人となった。しかし、国立高専は全国55校で1つの法人。このスケールメリットを生かしていきいたい」と抱負を語る。

本プロジェクトで利用する各PCには、クラスタを構築するためのOS「Windows Compute Cluster Server 2003」(以下、Windows CCS 2003)を搭載。各拠点ごとにクラスタを構築し、それらを広域ネットワークで接続してグリッドコンピューティング環境を実現する。2008年度は全国25拠点でクラスタを構築し、2009年度には広域ネットワークによる接続を行う。その後、参加するPCおよびクラスタを順次拡大していく予定。

Windows CCS 2003を採用した理由について、本プロジェクトで中心的な役割を担う岐阜高専の柴田良一氏は「教育用PCではWindowsを利用しているため、操作性の面からもWindows CCS 2003は親和性が高い。(GUIが利用できる)ActiveDirectoryが使えるので、管理もしやすい。また、学生が社会に出たときのことも考え、企業などでも使われているものを採用した」と話す。