金融庁は11日、2008年度より導入される内部統制報告制度の円滑な実施に向け、「内部統制報告制度に関する11の誤解」と題した解説集をWeb上で公表した。

同庁によると、上場企業に適用されるこの制度に対して、「一部に過度に保守的な対応が行われている」という指摘がなされているという。これに対して今回同庁がまとめた解説集では、誤解が多い11の用例が取り上げられ、Q&A形式で説明されている。

たとえば「米国SOX法と同じか」という質問に対しては、「米国の企業改革法(SOX法)のような制度が導入される」という誤解があり、これには「米国におけるSOX法に対する批判を踏まえて制度を設計」と回答。また、「フローチャートの作成など、内部統制のため新たに特別な文書化等を行わなければならない」とする誤解に対しては、フローチャート、業務記述書などの作成は必ずしも求められず、企業が作成、使用している記録等を利用し、必要に応じて補足を行えばよいことや、すべてを文書として保存するのではなく、磁気媒体など適切な範囲、方法で保存することも可能だと説明されている。

さらに、内部統制は全社的な評価が重要であり、会社の規模や特性に応じて業務評価の範囲や対応を限定することが認められている点や、評価結果に問題がある場合にも、それだけを理由に上場廃止や金融商品取引法違反の対象にはならないことなど、企業に過度の負担にならない、リスクが懸念される範囲を経営陣自らが判断できる柔軟な制度である点が強調され、実施意図への理解を改めて求めている。

併せて「内部統制報告制度の円滑な実施に向けた対応」を公表。4月からの制度の円滑な導入に向け、適正なディスクロージャーを確保するという制度の実効性を確保しつつ、効率的、効果的な制度の実施を図ることを目的に、会社、監査人に対してヒアリング等を行い、準備段階における疑問点や問題点を把握、基準など内容の一層の明確化を促進する意向が表明された。加えて、ヒアリングの結果を踏まえた「内部統制報告制度Q&A」を追加で公表するほか、日本経団連、日本公認会計士協会、金融庁の間で共同の窓口を設置し、会社や監査人からの相談、照会にあたる計画や、制度導入後にも適時にレビューを行い、その結果を踏まえて必要に応じた評価や監査基準の見直しや明確化などを検討していく方針が明らかにされている。