8日(米国時間)から最初のレビュー投票がはじまった「JSR 323: Strong Mobility for Java」だが、残念ながら否決票8、投票なし5、棄権3で否決された---

JSR 323はHiroki Suguri氏をスペックリードにして提案された規約。イニシャルエキスパートグループメンバーもサポートメンバーも個人での参加で占められている。コードやデータ、実行状態などの強力な移動性を確保することを目的とした規約で、Javaベースで開発されたプログラムに対して移動性を実現すべくバイトコード変換が提案されている。結果としてフォールトトレランスの実現や信頼性の向上、効率的なリソースの活用などが可能になるとされている。

Sun Microsystemは、同提案は研究対象としては興味深い対象だが、コミュニティやベンダサポートに対して標準化を実施するJCPという場において規定する対象ではないのではないかとコメントで述べている。またOS仮想化技術がそうした目的においてはより完璧なソリューションとなるのではないかと意見をあげ、さらに続けて、OpenJDKのような場所で研究を継続するとともに、広く開発コミュニティからフィードバックを得てはどうかとしている。

Intelは標準化すべき必要がある場合にJCPで規定すべきだが、同提案にはそれが見られないことを上げて否決票を投じている。同分野における取り組みは数年前から統一見解を得ることなく萎んできており、さらにハイパーバイザベースの仮想化技術に対象の興味は移行していると述べている。Googleはまだ時期尚早とし、Doug Lea氏はまだ同規約はJSRにする段階にないとして、提案者に対してJSRに再度提案する前にさらに実装も含めて経験を深めてはどうかとしている。

投票結果とそのコメントからは、移動性を確保することで実現する信頼性向上技術についてはまだJCPで規定する標準技術の対象ではないこと、さらにJava側ではなくハイパーバイザを使った仮想技術による対応が有力視されていることがわかる。