西武鉄道は28日、4月末に西武新宿線へ投入予定の新型車両30000系(8両編成)の第1編成車納車イベントを開催した。場所は、埼玉・小手指にある「池袋線車両所 小手指車両基地」。同車両基地には、同社取締役社長の後藤高志氏やプロジェクトメンバーが集結し、新車両との対面を果たした。

新生西武グループのシンボル的な存在という30000系

西武鉄道取締役社長の後藤高志氏とプロジェクトメンバー。ちなみに連結器は運搬用のもので、営業時には別のものが装着される

30000系車両は「スマイル トレイン ~人にやさしく、みんなの笑顔をつくりだす車両~」をコンセプトに、"たまご"をモチーフにしたデザインが特徴という。開発に際し、社内横断的に運輸、電気、広報、沿線営業、不動産、人事、車両といった各部署から男性19人、女性10人を集めてプロジェクトチームを結成。今回の新車両プロジェクトは「これまでのプロのスタッフによるつくり手目線の発想から、利用者、特に女性からの視点を積極的に採用した車両づくりを」(後藤氏)とのことで、同社初となる多数の女性スタッフが参画した。プロジェクトチームは、発注先である日立製作所と共に約2年2カ月の歳月をかけて車両を製作していったという。

西武鉄道の"西"をモチーフにしたシンボルマークが施されている

今回が初のお披露目となった30000系のエクステリアは、これまでの同社の車両とは一線を画するデザインであることが一目でわかる。前面の"顔"は、複雑な曲面を組み合わせたフォルム。ボディにも膨らみを持たせたことで、現在運行中の最新タイプである20000系に比べ、大幅な定員増(8両編成換算で約60名増)となった。さらにドーム型の天井も特徴的。小田急ロマンスカーなどの特急型車両には見られるドーム型天井だが、通勤型車両に採り入れられたのは新しいといえるだろう。結果的として、国内通勤車両では最大級の空間が確保できたという。

インテリアにも、"たまご"を連想させるデザインが随所に採用されている。釣り手や貫通扉の衝突防止表記、袖仕切りなどにたまご型を採用した他、荷物棚や手摺りも曲線的なデザイン。また優先席は、背ずり部分にハート柄を採用して優しさをイメージさせているという。

車内の様子

背ずり部分にも曲線が採用されている

優先席にはハートのマークが

貫通扉の衝突防止表記も"たまご"

今回のこの第1編成車は、山口県の日立製作所笠戸工場にて製造。落成後は、JR貨物によって山陽本線、東海道本線を経由し、27日に小手指車両基地に運び込まれたとのこと。今後30000系は2011年度までに120両が製造される予定で、総投資額は約132億円になるという。

また、新たに投入される30000系車両の陰で、101系と301系が順次退役する運びとなる。そこで、同社は28日からイベント「ありがとう101系226号車多摩湖線ラストラン」を開催している。多摩湖線で活躍中の101系低運転台車両(226号車)が31日で営業運転を終了することから、28日~31日の間は特別ヘッドマークを掲げて運転。区間は国分寺~西武遊園間(都合により変更の場合もあり)。他にも「記念硬券乗車券(復刻版)」や「オリジナル101系ピンバッチ」などの販売も予定されている。イベントは2月11日まで開催。

運転席窓に黒い縁取りがしていない低い窓の原形をとどめる101系226号車。 ヘッドマークにはその雄姿と「ありがとう 101系 226号車」の文字が