20日(カナダ時間)、Tcl/Tkの最新版となる「Tcl/Tk 8.5.0」が公開された。Tcl/TkはGUIアプリケーションを簡単に開発するためのスクリプト言語。Tclが処理を担当し、TkがGUIを担当する。Tclはその特徴からグルー言語とも呼ばれることがある。数行でGUIアプリケーションの開発が可能となっている。TkはTclに限らずほかの言語からも利用されている。

Tcl/Tk 8.5.0は長らく開発が実施されていたバージョンで、多くの新機能導入や改善が実施されている。Tcl 8.5.0ではバイトコードの改善やオブジェクトキャッシュ、メモリ利用の改善で実行速度が10%ほど高速になっているほか、大規模数値の演算処理能力の向上、スレーブインタプリタにおける時間とコマンド制限機能の導入、l10n/i18nを改善した時間コマンドclockの導入、新しいデータストラクチャdictの導入、高速リスト検索、アノニマスプロシージャ、新しいTclエクステンションパッケージなどが実現されている。

Tk 8.5.0では新しいモダンテーマエンジンが導入されている。この新機能によってよりプラットフォームにフィットしたUIが実現されている。特にWindows、Mac OS XのテーマはネイティブアプリケーションさながらのUIを実現している。ノートブック、コンボボックス、ツリービュー、プログレスバーなどのウィジェットもテーマに対応している。特に文字列を扱うtextウィジェットはスクロールや文字列処理が改善されている。X11ではアンチエリアジングフォントが使われるようになったほか、Mac OS Xではモダンテキストエンジンが動作するようになった。そのほかウィンドウ透過機能やWindowsにおける新しいfullscreenオプションの導入、ウィンドウレイアウトの拡張などがある。

Tcl/TkはGUIアプリケーションを手軽に作成したい場合にはかなり興味深いスクリプト言語だ。スクリプト言語でGUIアプリケーションを開発したいと考えているデベロッパは一度調査してみるといいだろう。