LG電子とEricssonによるMBMSの試演の様子

LG電子は、3G携帯電話網を活用したモバイル放送技術「MBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)の試演に成功したと発表した。これはEricsson Networkと共同で、スウェーデンのEricsson研究所で行われたものだという。

MBMSは、W-CDMAなどの通信網を利用して放送を送信するモバイルテレビ技術で、既存のW-CDMA網を利用するので、新たな基地局設置などの追加設備が必要ないのが特徴だ。LG電子では「低コストでモバイルテレビ放送をしたいと思っている通信事業者に最適」と述べている。

今回の試演では、鮮明な画質と最適な転送速度が確認できただけなく、通常の通話を行いながらでも放送を視聴できる、安定したマルチタスキング機能も確保したという。試演で使われたのは既に販売されている端末で、同サービスの商用化も遠いものではないことが分かる。

実際MBMSに「英Vodafoneや、香港Hutchison Telecom、韓国内の携帯電話事業者などが関心を示している」(LG電子)といい、うまくいけば2008年にMBMSシステムが導入され、2009年頃に商用サービスが開始される展望だ。

LG電子の本拠地である韓国では、どの携帯電話事業者がサービスするといった具体的な話はまだ浮上していない。LG電子によると「今回は、次世代の技術の試演が成功したということ自体に意味があり、まだどの事業者が行うといったような具体的な問題ではない」とのこと。それでも韓国でもHSDPAがサービスされており、2008年にはHSUPAも本格サービスされる見込みで、通信環境は向上している。サービス提供のための基礎は整えられていると言えるので、2008年以降のサービスに期待がかかっている。